
結論から言うと、営利企業が Google 広告を無料で出す方法はありません。「無料」と呼ばれているものは2つあり、ひとつは新規広告主向けのプロモーション特典(広告クレジット)、もうひとつは非営利団体向けのGoogle Ad Grants です。前者は先に自費で規定額を使うことが条件なので実質は割引であり、後者は非営利団体しか使えません。この2つを混同したまま準備を進めると、想定していた予算計画が崩れます。
「無料」と呼ばれている2つのものは別物
- プロモーション特典(広告クレジット) — 対象は主に新規の広告主。指定期間内に規定額を使うと、後から広告費に充当できるクレジットが付きます。誰でも常時もらえるものではありません
- Google Ad Grants — 対象は非営利団体のみ。Google.com の検索広告枠が月10,000米ドル分まで無償になります。営利企業は申し込めません
「Google 広告 無料」で検索して出てくる情報の多くは前者を指しています。ところが前者は広告費が無料になる仕組みではありません。次で仕組みを見ます。
プロモーション特典は「無料」ではなく後払いの割引
公式ヘルプは、プロモーション特典を「広告配信用の費用として機能するもので、キャッシュバックや払い戻しではありません」と定義しています。流れは次のとおりです(2026年8月時点)。
- 1. 受け取る — アカウントに自動適用されるか、プロモーションコードを入力します
- 2. 条件を満たす — 指定された期間内に、必要な金額を使います。公式が挙げている例は 500米ドルです
- 3. 処理される — 利用額の要件を満たすと審査が入ります。最長で35日かかります
- 4. クレジットが適用される — 要件をすべて満たしていれば有効になります
- 5. 使う — 使い切るか有効期限が切れるまで、今後の広告費用に自動で充当されます
ここで最も重要なのは、公式が「重要」として付けている注記です。クレジットは、適用される前に発生した費用の支払いには使えず、「ご利用額の要件」自体に充当することもできません。つまり、規定額はあくまで自費で先に払う必要があります。「無料で始められる」ではなく「先に払った人に、後からいくらか戻る」のが正確な理解です。
新規広告主向け特典の条件
新規広告主向けの特典には、公式に3つの要件が示されています。
- 特典の利用開始時点で、アカウント作成から14日以内であること
- 有効な支払い方法が追加されていること
- 同じビジネス向けに、別のアカウントで Google 広告を掲載したことがないこと
14日という期限は見落とされがちです。アカウントだけ先に作って放置すると、特典を使えないまま資格が切れます。既存の広告主にも、P-MAX のような新機能の導入時や休眠アカウントの再開時にクレジットが提供されることがあります。
広告費そのものが無償になるのは非営利団体だけ
Google Ad Grants は、非営利団体に月10,000米ドル分までの検索広告枠を提供する制度です。営利企業は対象外で、さらに非営利団体であっても政府事業体・政府組織、病院やヘルスケア企業、学校・教育機関・大学は対象外とされています。
また、枠があることと広告が出ることは別です。Ad Grants は上限であって保証ではなく、クリック率5%の維持などの要件を満たさないとアカウントが止まります。仕組みはGoogle Ad Grants とは。無償枠で実際にできることに、前提となるプログラム全体はGoogle for Nonprofits とは。使える4つのプログラムにまとめています。非営利団体の方で申請や運用の相談先をお探しであれば、当社のGoogle Ad Grants 運用支援をご覧ください。
次の一歩
営利企業であれば、無料の入口を探すよりも「いくらまでなら払えるか」を先に決めるほうが結果的に早く進みます。事業計画から広告予算を逆算する手順は広告予算の決め方。事業計画から逆算する4ステップに、許容できる獲得単価の出し方はCAC と LTV から、許容できる獲得単価を決めるにまとめています。
よくある質問
Google 広告のアカウント開設に費用はかかりますか?
アカウントの開設自体に費用はかかりません。費用が発生するのは広告を配信したときで、クリック課金であれば広告がクリックされた分だけ請求されます。
プロモーションコードはどこで手に入りますか?
公式によれば、マーケティングに関するお知らせや既存広告主向けのプロモーションページを通じて、一部の広告主に提供されます。誰でも常時取得できるものではありません。条件は特典ごとに異なるため、利用規約の確認が必要です。
クレジットをもらえば、その分だけ広告費が浮きますか?
浮きます。ただし、クレジットを得るには先に規定額を自費で使う必要があり、その支払いにクレジットは充当できません。実質は「一定額を使った人への割引」です。
営利企業が Ad Grants を使う方法はありませんか?
ありません。対象は非営利団体に限られます。関連する非営利法人を持っている場合でも、その法人の活動目的に沿った広告であることが求められ、営利事業への送客を主目的にした利用はプログラムのポリシーに反します。
本記事のプロモーション特典および Ad Grants の条件は、Google 広告ヘルプと Google for Nonprofits の公式ページを2026年8月22日に確認した内容です。特典の条件は個別に異なり、変更される場合があるため、実際の申し込み時には公式の最新情報と利用規約をご確認ください。
