
LTV(顧客生涯価値)は便利な言葉ですが、そのまま使うと判断を誤ります。「生涯」で計算した数字は大きく出るので、許容 CPA も大きくなり、実際には回収できない出稿を正当化してしまうことがあります。
期間を区切らない LTV は使えない
実務で必要なのは「何か月で、いくら回収できるか」です。12 か月で回収する前提なら 12 か月分の粗利、6 か月なら 6 か月分。区切りを決めずに計算した LTV は、資金繰りの制約を無視した数字になります。
区切りは事業の状況で変わります。手元資金に余裕があれば長く取れますし、そうでなければ短くせざるを得ません。ここはマーケティングの判断ではなく経営の判断です。
許容 CAC の出し方
先に言葉を分けておきます。CAC は営業・マーケティングを含めた顧客獲得費用の全体、広告 CPA は広告上の成果 1 件あたりの費用です。広告 CPA だけを見て CAC を語ると、獲得にかかっている費用を過小評価します。
おおまかには、次の順で考えます。
- 回収期間を決める(例:6 か月)
- その期間内の平均的な購入回数と粗利を出す
- そこから、獲得以外にかかる費用(決済手数料・カスタマーサポート等)を引く
- 残った額のうち、どこまでを獲得に使うかを決める
最後の「どこまで使うか」は、成長を優先するのか利益を優先するのかで変わります。全額を獲得に回せば成長は速くなりますが、利益は残りません。
チャネルごとに許容 CAC は違ってよい
指名検索で獲得した顧客と、動画広告で初めて知った顧客では、その後の継続率が違うことがあります。同じ許容 CPA で全チャネルを評価すると、継続率の高いチャネルを過小評価します。
ただしチャネル別に継続率を出すには、獲得経路を計測に残しておく必要があります。計測の設計が後回しになっていると、この分解自体ができません。
数字が出るまでは、仮置きで進める
立ち上げ初期は継続率の実績がありません。その場合は社内実績や類似施策など、根拠を明示できるデータから暫定値を置き、実績に応じて更新します。仮置きであることを明示しておかないと、後から「あの数字は何だったのか」が分からなくなります。
この考え方を広告側の目標に落とす手順は広告の KPI は事業の KPI から逆算して決めるに、獲得後の継続まで含めた設計はデジタルマーケティング支援にまとめています。
