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Google Ad Grants(アドグランツ)とは。対象・要件・申請の流れ

広告運用
月10,000米ドルの枠を器で表した図。器の下部だけが埋まっており、下にキーワード・入札・広告とランディングページ・ターゲティングの4要因が並ぶ。

Google Ad Grants(アドグランツ、グーグルアドグランツ)は、条件を満たした非営利団体に対して、Google 検索広告の枠が毎月 10,000 米ドル分まで無償で提供される制度です。NPO法人や一般社団法人などが対象で、Google for Nonprofits(非営利団体向けプログラム)の一部として提供されています。結論から言うと、これは「広告費が無料でもらえる」制度ではなく、「無償の在庫を使い切るための運用を、自分たちで続けられるか」を問われる制度です。枠は保証ではなく上限であり、要件を満たさなくなったアカウントは予告なく止まります。この記事では、何が無償になるのか、対象になる団体、申請の流れ、運用中に続く要件の順に整理します。

何が無償になるのか

提供されるのは、Google 検索の結果ページに表示されるテキストの検索広告の枠です。ディスプレイや動画は含まれず、追加の Google 広告が必要な場合は別アカウントで購入することになります。制度上の枠組みは次のとおりです(2026年10月時点・公式ヘルプ)。

  • 月 10,000 米ドル・1日あたり約 329 米ドル — 米ドル以外の通貨のアカウントでは、おおよその相当額に換算されます(換算率は変動します)
  • キャンペーンが何本あっても1日 329 米ドル — 各キャンペーンの日予算の合計が 329 米ドルを超える設定自体はできますが、上限を超える資金援助は行われません
  • 使えるのはキーワードを指定する検索キャンペーンだけ — 掲載できるのはテキスト広告に限られます
  • 表示位置は有料広告の下 — 公式ヘルプは、Ad Grants の広告は有料の広告主の広告の下に表示されると説明しています

ここで最初に押さえるべきなのは、公式が「これは制限であり、費用の保証ではありません」と明記していることです。実際にいくら消化できるかは、入札単価・キーワードの競争力・広告の品質・ターゲティング・そのキーワードを検索する人の数で決まります。枠が 10,000 ドルあることと、10,000 ドル分の広告が出ることは別の話です。

対象になる団体・ならない団体

Ad Grants を使うには、先に Google for Nonprofits の参加資格を満たす必要があります。公式ヘルプ「資格に関するガイドライン」は、日本の団体について次の法人格を挙げています(2026年10月8日確認)。

  • 公益社団法人
  • 公益財団法人(公益認定等委員会により認定されたもの)
  • 特定非営利活動法人(NPO法人) — 公式の日本語ページの表記は「市町村または都道府県の認定を受けた特定非営利活動法人」です
  • 社会福祉法人(市町村、都道府県、厚生労働省のいずれかから認可を受けたもの)
  • 一般社団法人

この5つ以外の法人格(一般財団法人など)は、同じ一覧に記載がありません。また、非営利であっても次の団体は参加できないとされています。

  • 政府事業体や政府機関
  • 病院や医療団体 — ただし、医療団体に関連する慈善部門や財団法人は参加できるとされています
  • 学校、学術機関、大学 — ただし、教育団体の慈善事業部門は参加できるとされています。教育機関には Google for Education が別にあります

該当するかどうかを最終的に判断するのは Google と、審査を担当するパートナーの Goodstack です。医療や教育に関わる活動をしている団体は、ここが分かれ目になります。

申請から配信開始までの流れ

手続きは「Google for Nonprofits の団体確認」と「Ad Grants の有効化」の2段階に分かれます。それぞれに審査があります。

  • 1. Google for Nonprofits のアカウントをリクエストする — 公式サイトの「使ってみる」から申請します。団体の登録番号などを入力し、Goodstack が公的な記録と照合します。審査は通常 2〜14 営業日とされています
  • 2. ウェブサイトを確認する — Ad Grants には「ウェブサイトに関するポリシー」があります。サイト全体が HTTPS であること、団体がドメインを所有し管理していること、ミッションと活動内容が明記されていること、独自のコンテンツが十分にあることなどが求められます
  • 3. Ad Grants を有効化する — Google for Nonprofits にログインし、Ad Grants の「使ってみる」から広告に使うウェブサイトを入力します。5分ほどの紹介動画を見たうえで有効化リクエストを送ります。審査は通常 3〜5 営業日とされています
  • 4. 招待メールからアカウントに入る — 承認されると、アカウントへのアクセス方法の案内と、お支払いプロファイルの承認依頼の2通が届きます。後者はアクセスのための手続きで、団体に請求が発生することはありません

つまずきやすいのは3です。公式は「有効化プロセス中は、Google 広告アカウントを作成しないでください」と注意しています。アカウントは有効化の際に提供されるため、先に自分で通常の Google 広告アカウントを作って進めると手順が食い違います。また、Ad Grants 専用のログイン画面はなく、通常の Google 広告の画面から、Google for Nonprofits に登録したメールアドレスで入ります。

2つの審査の目安を足すと、順調に進んでも1〜4週間ほどかかります。キャンペーンの作成と計測の設置はそのあとです。特定のイベントに合わせて急に使える制度ではありません。

クリック単価の上限は2米ドル。自動入札なら超えられる

Ad Grants には入札の上限があります。公式ヘルプ「プログラムの概要」は、手動入札のクリック単価の上限を 2.00 米ドルとしたうえで、スマート自動入札のうち「コンバージョン数の最大化」「目標コンバージョン単価」「目標広告費用対効果」は、2.00 米ドルを超えて入札できると説明しています。それ以外のスマート自動入札には 2.00 米ドルの上限がかかります。

入札単価の競争力が足りないことは、公式が「予算を使い切れない要因」として挙げている項目のひとつです。後述のとおり、2019年4月22日以降に作成されたアカウントはコンバージョンに基づくスマート自動入札が必須なので、新しく始める団体にとっては「計測を整えて自動入札を使う」ことが、要件を満たす手段であると同時に、2米ドルの上限がかからない入札戦略を選ぶことにもつながります。

枠を使い切れないのはなぜか

公式は、日予算を使い切れないことがあると認めています。特にアカウントを始めたばかりの時期や、次の状況で起きやすいとされています。

  • キーワードが具体的すぎる、または検索ボリュームが少ない
  • 入札単価の競争力が足りない(スマート自動入札を使っている場合も含む)
  • 広告の品質、またはランディングページの利便性が低い
  • キャンペーンのターゲティング範囲が狭すぎる

実際に Ad Grants アカウントを運用していると、消化が伸びない理由はこの4つのどれかに必ず当たります。そして厄介なのは、後半2つが「入札を上げれば解決する」種類の問題ではないことです。広告文とランディングページの中身を直さないかぎり、掲載順位は上がらず、枠は余り続けます。無償なのは広告枠であって、それを使い切る作業は無償になりません。

続けるために満たし続ける条件

Ad Grants は、審査に通った時点で終わりではありません。以下は運用中ずっと満たし続ける必要がある要件です。ひとつでも外れると、アカウントは一時停止の対象になります。

  • クリック率 5% 以上を毎月維持する — アカウント単位の要件で、キーワード単位ではありません。2か月連続で下回るとアカウントは一時的に停止されます
  • 1語のキーワードを使わない — 例外は団体が所有するブランド名、一般的な病名、頭字語など。公式は「寄付」「募金」「チャリティ」「ボランティア」「NGO」「非営利団体」などを例外のキーワードとして挙げています。ダッシュやピリオドを含む用語は1語として扱われません
  • 一般的すぎるキーワードを使わない — 公式の例は「電子書籍」「今日のニュース」「便利なアプリ」など。地名や人名の単独使用も不可ですが、「〇〇市の博物館」のような組み合わせは使えます
  • 品質スコア1・2のキーワードを残さない — 一時停止または削除が必須です。品質スコアが「—」のキーワードは対象外です。自動化ルールで機械的に止める運用が現実的です
  • 月1回以上のコンバージョンを獲得する — 有効なコンバージョン計測が前提です。滞在時間やトップページ閲覧のような指標は「コンバージョン」ではなく「その他」に置くよう指示されています
  • キャンペーンごとに広告グループを2つ以上、サイトリンクを2つ以上持つ
  • 地域ターゲティングを具体的に設定する — 団体の情報やサービスが役に立つ地域に広告が出るよう設定します。満たしていないと、アカウント構造を理由に無効化されることがあります
  • スマート自動入札を使う — 2019年4月22日以降に作成されたアカウントは、全キャンペーンでコンバージョン数の最大化・コンバージョン値の最大化・目標コンバージョン単価・目標広告費用対効果のいずれかを使う必要があります。データが無い初期はクリック数の最大化で始め、直近30日のコンバージョンが15〜30件になった時点で切り替えるのが目安とされています
  • 年次のプログラムアンケートに回答する — 未回答もアカウント無効化の理由になります

この一覧を見て気づくのは、要件のほとんどが「広告の質を落とすな」という一点に収れんしていることです。クリック率5%も、品質スコアの下限も、月1コンバージョンも、無償枠が的外れな広告で消費されることを防ぐための線引きです。

出典:Google Ad Grants 公式サイト/Google for Nonprofits ヘルプセンター(「資格に関するガイドライン」「プログラムの概要」「予算と入札について」「アカウント管理に関するポリシー」「非営利キャンペーン」「ウェブサイトに関するポリシー」。2026年10月8日確認)

始める前に決めておくこと

順序を間違えると、審査に通ったあとで配信が空回りします。次の順で決めるのが安全です。

  • 1. 対象かどうかと、サイトの状態を先に確認する — 法人格が一覧にあるか、対象外の3類型に当たらないか、ウェブサイトがポリシーを満たしているかを、申請の前に確認します
  • 2. コンバージョンを先に決める — 月1回以上という要件がある以上、「何をコンバージョンとするか」を広告開始前に決めておく必要があります。寄付・会員登録・資料請求・問い合わせなど、実際に月1件以上起きる行動を選びます。件数が足りない見込みなら、マイクロコンバージョンの考え方で中間行動を設計します
  • 3. 計測を作り切ってから入札を任せる — スマート自動入札が必須である以上、計測が不完全なまま始めると学習が成立しません。前提の詳細はスマート自動入札が「効かない」と感じたときに疑う3つの前提で整理しています
  • 4. ランディングページを先に用意する — 品質スコアとクリック率の要件は、結局のところ広告文とランディングページの質を問うものです。広告だけで満たせる要件ではありません

寄付や会員を増やす目的で使う場合の考え方は、寄付を集めたい団体が、広告費0円で検索広告を出す方法にまとめています。

SINCEED ができること

当社はデジタルマーケティング支援の一環として、Google 広告の設計・運用を行っています。Ad Grants は無償枠という点だけが特殊で、キーワード設計・品質スコア・コンバージョン設計・自動入札といった運用の中身は有料の検索広告と同じ土俵にあります。「枠はあるのに消化できない」「一時停止の通知が来た」といった状態は、原因を分解すれば対処できるものがほとんどです。当社のGoogle Ad Grants 運用支援では、申請準備から配信設計、参加要件の維持までを承っています。状況の整理からご相談ください。

よくある質問

Ad Grants の枠は必ず毎月 10,000 米ドル使えますか?

使えません。10,000 米ドルは上限であり、公式も「制限であり、費用の保証ではない」と明記しています。実際の消化額は入札の競争力・広告の品質・検索ボリュームで決まります。

一般社団法人でも Ad Grants(アドグランツ)を使えますか?

公式ヘルプ「資格に関するガイドライン」の日本の欄には、一般社団法人が挙げられています(2026年10月8日確認)。ただし法人格だけで決まるわけではなく、政府機関・医療団体・教育機関に当たらないこと、審査パートナーの確認を通ること、ウェブサイトがポリシーを満たすことが必要です。

申請から広告が出るまで、どれくらいかかりますか?

公式が示す目安は、Google for Nonprofits の審査が通常 2〜14 営業日、Ad Grants の有効化の審査が通常 3〜5 営業日です。追加の資料を求められた場合や、ウェブサイトの修正が必要な場合はさらに延びます。キャンペーンの作成と計測の設置にかかる時間は別に見てください。

申請や利用にお金はかかりますか?

Google に支払う費用はありません。承認時にお支払いプロファイルの承認を求めるメールが届きますが、公式は「非営利団体に請求が発生することはありません」と説明しています。

ディスプレイ広告や YouTube 広告にも使えますか?

無償枠の対象は Google 検索の結果ページに表示されるテキスト広告です。それ以外の広告が必要な場合は、別アカウントで購入することになります。

アカウントが一時停止されたら、もう使えなくなりますか?

要件を満たすようアカウントを修正したうえで、再開(復元)をリクエストできます。ただし Google は理由や時期を問わず参加を許可・拒否する権利を持つと明記しているため、停止を前提にした運用は避けるべきです。

営利企業でも使えますか?

使えません。対象は非営利団体です。営利企業が「Google 広告 無料」として見かける仕組みは別物で、Google 広告は無料で使えるのか。無料枠の正体で整理しています。

クリック率5%は、どの単位で見ればよいですか?

アカウント単位です。キーワードごとに5%を維持する必要はありません。表示回数が多くクリック率の低いキーワードを止めていくと、アカウント全体の平均は上がります。

本記事の制度・要件は Google for Nonprofits および Ad Grants ヘルプの公式情報を2026年10月8日に確認した内容です。公式ヘルプの日本語ページには機械翻訳が含まれる旨の注記があります。プログラムの条件は変更される場合があるため、実施時には公式の最新情報をご確認ください。

Consultation

Google Ad Grants の申請・運用を相談する

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