
「来期からオウンドメディアを立ち上げる」と会議で決まり、担当を任された方が最初につまずくのは、何から決めればよいのかがわからない点です。制作会社から届いた見積書には、要件定義・CMS構築・初期コンテンツといった項目が並びます。どこまでを自社で決めて、どこからを任せるのかの線引きが見えないまま打ち合わせだけが続くのは、よくある状況です。オウンドメディアの構築は、サイトを作る工程よりも作る前に決める工程のほうが長くかかります。
この記事では、オウンドメディア構築の手順6ステップ、CMSの選び方、運用体制のつくり方、制作会社の選び方、よくある失敗例を解説します。記事を読めば、自社で決める範囲と外部へ任せる範囲を切り分けたうえで、着手の順番を組み立てることが可能です。オウンドメディアの構築は、目的と成果地点を最初に決めておけば、CMSも記事も体制もその1点から逆算して決まります。
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オウンドメディアの構築とは
オウンドメディアとは、企業が自社で所有して運営する情報発信の媒体のことです。自社サイト内のブログやコラム、独立したドメインで運営する情報サイトが当てはまります。広告枠を買って露出を作る手法と違い、公開した記事がサイトに残り続けて検索から人を集める点が特徴です。
構築という言葉はサイトを作る作業だけを指すように見えますが、実務では3つの工程をまとめて指します。オウンドメディアの構築に含まれる工程は、以下のとおりです。
- 目的・読者・テーマを決める企画
- サイトとCMSを用意する制作
- 記事を作り続ける体制と計測環境の準備
3つのうち、公開後の成果を左右するのは企画の工程です。目的が決まっていないメディアは、記事のテーマも成果の数え方も後から揺れ、作り直しが発生します。
立ち上げから成果が見え始めるまでは、半年から1年程度を見込みます。検索エンジンが公開した記事を評価し、順位が安定するまでに時間がかかるのが理由です。Googleの検索セントラルも、サイトに加えた変更がGoogle側に反映されるまでにはある程度の時間がかかり、数時間かかる変更もあれば数か月かかる変更もあると説明しています。
オウンドメディアの構築は、短期の集客施策ではなく、半年以上かけて資産を積む取り組みだといえます。予算と人の確保も、この期間を前提にした計画が必要です。
オウンドメディア構築の手順6ステップ
構築の作業そのものは制作会社に任せられますが、判断はすべて自社に残ります。決める順番を間違えると、CMSを選んだ後で目的が変わり、作り直しが発生します。オウンドメディア構築の手順6ステップは、以下のとおりです。
- メディアの目的と成果地点を決める
- 読者像と扱うテーマの範囲を決める
- 検索キーワードを選んで記事の全体設計を作る
- CMSとドメイン・サーバーを決める
- 運用体制と記事の制作フローを決める
- 初期記事を公開して計測環境を整える
メディアの目的と成果地点を決める
最初に決めるのは、メディアで何を達成するかと、読者のどの行動を成果として数えるかの2点です。この2点が決まらないと、キーワードもCMSも記事の本数も判断できません。成果地点とは、読者が起こす行動のうち、自社が成果としてカウントする地点を指します。
オウンドメディアで成果地点として置かれる行動は、以下のとおりです。
- 資料請求や問い合わせフォームの送信
- 無料相談やデモの申し込み
- メールマガジンの登録
- 採用エントリー
- 商品やサービスの購入
成果地点が決まると、KPIも自動的に決まります。KPIとは重要業績評価指標のことで、最終的な目標に到達しているかを途中で測るための数値です。問い合わせを成果地点に置いたメディアなら、問い合わせ件数がKPIの中心になります。
公開直後は成果地点の件数がほとんど動きません。検索からの流入が積み上がるまでに時間がかかるためです。立ち上げ期は、公開記事数・検索順位・検索経由のセッション数といった手前の数値を併せて見ると、進捗を判断できます。
読者像と扱うテーマの範囲を決める
目的の次に決めるのは、記事を届ける読者像と、メディアで扱うテーマの範囲です。読者像は、業種・役職・抱えている課題・情報を探す場面まで具体化します。テーマの範囲は、自社が一次情報を持っている領域に絞り込むのが原則です。
Googleは検索セントラルで、有用なコンテンツとは主にユーザーのために作成されたコンテンツであり、検索エンジンのランキングを操作することを目的としたものではないと説明しています。評価の観点としてエクスペリエンス・専門性・権威性・信頼性の4つを挙げ、中でも信頼性が最も重要だとしています。自社に経験のない領域まで手を広げると、4つの観点を満たす記事は書けないままです。
テーマの範囲を決めるときに確認する項目は、以下のとおりです。
- 自社の商品・サービスと地続きのテーマか
- 社内に実務経験や独自のデータがあるか
- 読者が検討のどの段階で読むテーマか
- 競合のメディアが扱っていない角度があるか
範囲を広げるほど記事は書きやすくなりますが、読者と成果地点の距離も離れます。範囲を決める段階では、書ける量ではなく、読者が自社の商品にたどり着く道筋があるかで判断しましょう。
検索キーワードを選んで記事の全体設計を作る
読者像が決まったら、読者が実際に検索する言葉を集めて記事の一覧表に落とし込みます。Googleの検索セントラルがすすめているのは、ユーザーがコンテンツを探すときに検索しそうなキーワードを考える手順です。キーワードを決めずに書き始めた記事は、誰の検索にも当たらないまま埋もれます。
キーワード選定と全体設計の進め方は、次のとおりです。
- 自社の商品・サービスに関係する言葉を洗い出す
- キーワードツールで検索回数と関連語を確認する
- 成果地点に近いキーワードと、認知を広げるキーワードに分ける
- 1記事につき1キーワードを割り当てる
- カテゴリ単位でまとめて記事の一覧表を作る
カテゴリ単位でまとめる作業は、サイトの階層設計そのものです。Googleの検索セントラルは、類似したトピックのページをディレクトリにまとめる方法を挙げ、ディレクトリごとにまとめるとURLの更新頻度をGoogleが把握しやすくなると説明しています。記事を書き始める前にカテゴリを決めておくと、後からのURL変更を避けられます。
一覧表に並べる項目は、キーワード・想定読者・成果地点・担当者・公開予定日です。一覧表があると、記事の本数と必要な工数を掛け算で見積もれます。
CMSとドメイン・サーバーを決める
企画が固まった段階で、サイトの土台を決めます。CMSとは、HTMLを直接書かずに記事の投稿やデザインの変更ができる仕組みのことです。オウンドメディアは記事を出し続ける媒体なので、CMSの使いやすさが公開後の更新頻度に直結します。
この工程で決める項目は、以下のとおりです。
- 利用するCMSの製品とプラン
- 自社ドメインの配下に置くか、別のドメインを取得するか
- サーバーの契約先と、保守を担う担当者
- カテゴリ構成に沿ったURLの付け方
URLの付け方には、Googleが公開している基準があります。検索セントラルのURL構造のベストプラクティスでは、単語の区切りにアンダースコアではなくハイフンを使うこと、長いID番号ではなく意味のある単語を使うことがすすめられています。日本語で検索される読者向けにはURLへ日本語の単語を使えますが、ASCII以外の文字はパーセントエンコードが必要との記載です。複数のパラメータやセッションIDを含むURLは避ける対象として挙げられています。
ドメインをどこに置くかは、後から変更するとURLがすべて変わる項目です。既存の自社サイトと同じドメインの配下に置くのか、別ドメインで独立させるのかは、公開前に社内で合意を取っておきます。
運用体制と記事の制作フローを決める
サイトが完成しても、記事を作る流れが決まっていなければ更新は止まります。公開前に決めておくのは、1本の記事が公開に至るまでの工程と担当者、締切です。
記事1本の制作フローは、次の順で組み立てます。
- キーワードと読者を確認して記事の企画を決める
- 見出し構成を作って社内で承認を取る
- 構成に沿って本文を執筆する
- 編集担当が事実と表現を確認する
- CMSへ入稿して表示を確認する
- 公開して計測の設定が動いているかを確認する
工程ごとに担当者と所要日数を決めると、月に何本公開できるかが計算できます。決めていない場合、執筆担当が本業と兼任した時点で工程が止まり、公開が翌月へずれ込みます。
承認者は1人に絞るのが原則です。複数人が別々の観点で差し戻す体制にすると、1本あたりの制作期間が読めなくなるためです。
初期記事を公開して計測環境を整える
公開時点で用意する記事は、20本から30本程度を目安にします。1本だけ公開しても検索結果で見つかる可能性は低く、カテゴリごとに数本ずつそろえて初めてサイトの主題が伝わるからです。記事の一覧表の上から順に、成果地点に近いキーワードの記事を先に用意します。
公開前後に済ませる計測の設定は、以下のとおりです。
- Search Consoleで所有権を確認してサイトを登録する
- Googleアナリティクスの計測コードを全ページに設置する
- 成果地点のページとフォームが動作するかを確認する
- 公開した記事がインデックスに登録されているかを確認する
Search Consoleは、Google検索結果でのサイトの掲載順位を監視・管理・改善するのに役立つGoogleの無料サービスです。Googleがサイトを検出してクロールできるかの確認、新規コンテンツのインデックス再登録のリクエスト、検索トラフィックのデータ確認、インデックス登録やスパムの問題が検出されたときのアラート受信ができると案内されています。
Googleアナリティクスについては、あらゆる規模のビジネスで利用できる、使いやすい無料ソリューションだとGoogleが説明しています。Googleアナリティクスは、公開後に後付けすると設置前のデータを後から取得できません。Search Consoleも公開前に登録しておくと、インデックス登録の問題を公開直後から確認できます。設置は公開前に済ませておきましょう。
オウンドメディア構築で使うCMSの選び方
CMSは、公開後の運用の手間を最も左右する選択です。記事を1本入稿するたびに外部への依頼が必要な作りにすると、更新は確実に止まります。オウンドメディア構築で使うCMSの選び方は、以下のとおりです。
- CMSの4つのタイプと向き不向き
- CMSを選ぶときに確認する5つの項目
- CMSの料金の実例
CMSの4つのタイプと向き不向き
CMSは、提供のされ方によって大きく4つのタイプに分かれます。タイプごとに、初期の手間と公開後の保守の負担が逆方向に振れます。CMSの4つのタイプは、以下の表のとおりです。
| タイプ | 内容 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| オープンソース型 | 公開されているソフトウェアを自社のサーバーに設置して使う | 社内または依頼先に技術担当がいて、拡張の自由度を優先する企業 |
| パッケージ型 | 製品としてライセンスを購入し、自社の環境に導入する | サポート窓口と保守の責任分界を契約で決めたい企業 |
| クラウド型 | 提供元のサーバー上で動くサービスを月額で利用する | 技術担当を置かず、記事の制作に人を集中させたい企業 |
| スクラッチ開発 | 要件に合わせてゼロから開発する | 既存の業務システムとの連携など、独自の要件がある企業 |
オープンソース型は初期費用を抑えやすい代わりに、セキュリティの更新やサーバーの保守を自社で担う必要があります。クラウド型は保守を提供元に任せられる代わりに、月額の費用が継続して発生する仕組みです。どちらが安いかではなく、保守を担う人が社内にいるかどうかで選ぶ対象が絞れます。
CMSを選ぶときに確認する5つの項目
CMSの比較では、機能の多さよりも、記事を出し続ける動作が社内で完結するかを確認します。オウンドメディアの運用で毎週発生する作業だけを取り出して、その作業が何手でできるかを見る方法が実際的です。
CMSを選ぶときに確認する項目は、以下のとおりです。
- 記事の入稿と修正を社内だけで完結できるか
- 見出し・内部リンク・メタ情報を自由に設定できるか
- セキュリティの更新とサーバーの保守を誰が担うか
- 既存の自社サイトと同じドメインの配下に置けるか
- 記事のデータを他のCMSへ移せる形で書き出せるか
最後の項目は、契約の終わり方に関わります。記事はオウンドメディアの資産なので、移行できない形式でしか書き出せないCMSを選ぶと、乗り換えのたびに資産を捨てることになります。デモ環境を触る段階で、書き出しの形式まで確認しておくと安全です。
CMSの料金の実例
CMSの料金が製品ごとに大きく違うのは、ソフトウェアだけを使うのか、保守やサポートまで含むのかの差です。製品ごとの公式の案内を、実例として2件挙げます。
WordPressの公式サイトでは、WordPressはGPLv2ライセンスのオープンソースソフトウェアと説明され、ソフトウェアを実行・研究・改変・再頒布する4つの自由が挙げられています。ダウンロードのページでの案内は無料です。ソフトウェア本体に利用料はかかりませんが、サーバーとドメインの契約は別に必要です。
HubSpotの日本語公式サイトでは、Content Hubに月額0円の無料プランがあり、2人のユーザーまで料金はかからないと案内されています。有料プランのStarterは年間契約で1シートあたり月額840円からと案内されていますが、新規契約者向けの期間限定の価格とされているため、契約時の条件を確認する必要があります。Professionalは年間契約で月額54,000円です。
金額の幅が大きいのは、製品ごとに含まれる範囲が違うからです。見積もりを比べるときは、月額の数字ではなく、保守・サポート・記事の移行がどこまで含まれるかをそろえて並べます。
オウンドメディア構築とあわせて決める運用体制
オウンドメディアは、公開した日から毎月工数が発生する媒体です。構築の予算だけを確保して運用の人員を決めずに始めると、数か月で更新が止まります。オウンドメディア構築とあわせて決める運用体制は、以下のとおりです。
- 構築と運用に必要な4つの役割
- 内製と外注の切り分け方
- 更新を止めないための運用ルール
構築と運用に必要な4つの役割
オウンドメディアの運用には、性質の違う4つの役割が必要です。1人がすべてを担う体制にすると、その担当者が別の業務に取られた時点でメディア全体が止まります。
オウンドメディアの運用に必要な役割は、以下のとおりです。
- 編集長(目的とKPIに責任を持ち、公開の可否を判断する)
- 企画・構成担当(キーワードから記事の設計図を作る)
- 執筆担当(構成に沿って本文を書く)
- 技術担当(CMSとサーバーの保守、計測の設定を管理する)
中小企業では、4つの役割を4人で分ける体制を組めないケースが大半です。その場合でも、編集長だけは社内の意思決定ができる人が担います。公開の可否と優先順位を決める役割を外部に預けると、記事の方向が自社の商品から離れていくためです。
執筆担当と技術担当は、兼任や外注に回しやすい役割になります。
内製と外注の切り分け方
内製と外注の切り分けは、工程ごとに判断します。自社の一次情報や商品知識が必要な工程は社内に残し、作業量で成果が決まる工程は外へ出す形が基本です。工程ごとの切り分けの目安は、以下の表のとおりです。
| 工程 | 切り分けの目安 |
|---|---|
| 目的・KPIの設定 | 自社でしか決められないため外注しない |
| キーワード選定・記事企画 | 商品知識が必要で、外注する場合も最終決定は自社が行う |
| 執筆 | 本数を増やす段階で外注しやすい |
| 編集・校正 | 品質の基準を作るまでは自社、基準ができた後は外注も可能 |
| サイト保守・セキュリティ更新 | 社内に技術担当がいなければ外注する |
すべてを外注する体制も選べますが、その場合は社内に判断材料が残りません。記事の良し悪しを自社で評価できなくなると、成果が出ないときの打ち手を業者に聞くしかなくなります。最初の数本だけでも社内で構成を作ると、評価の基準が社内に残ります。
更新を止めないための運用ルール
更新が止まる原因は、やる気ではなく仕組みの不在にあります。誰が・いつまでに・何本出すかが数字で決まっていない運用は、繁忙期の最初の週で止まります。
更新を止めないための運用ルールは、以下のとおりです。
- 月あたりの公開本数を決めて編集カレンダーに載せる
- 記事1本ごとに担当者と工程別の締切を固定する
- 公開の可否を判断する承認者を1人に決める
- 既存記事を見直すリライトの時間を毎月確保する
本数の目標だけが先に立つと、記事の中身が薄くなる方向へ運用が傾きます。Googleは検索セントラルで、検索ランキングを操作することを目的にAI生成などの自動化を使用してコンテンツを作成する行為は、Googleのスパムに関するポリシーに違反すると明記しています。公開本数は、品質の基準を満たせる範囲で決めてください。
オウンドメディア構築を依頼する制作会社の選び方
構築を外部に依頼するとき比較が難しくなるのは、各社の見積もりが同じ前提で作られていないためです。前提をそろえてから複数社に提案を依頼すると、金額の差がどこから生まれているかを読み取れます。オウンドメディア構築を依頼する制作会社の選び方は、以下のとおりです。
- 依頼前に自社で決めておくこと
- 提案を比べるときに確認する項目
依頼前に自社で決めておくこと
制作会社へ相談する前に、自社で決めておく項目があります。決めずに相談すると、各社が別々の前提で提案を作り、比較の対象にならない見積もりが並びます。
依頼前に自社で決めておく項目は、以下のとおりです。
- メディアの目的と成果地点
- 読者像と扱うテーマの範囲
- 公開したい時期と初期記事の本数
- 社内で担当する人と、担当できる工程
- 既存の自社サイトとの関係(同じドメインか別ドメインか)
上の5項目は、いずれも外部が代わりに決められない内容です。制作会社に丸ごと相談した場合でも、決定の責任は自社に残ります。提案依頼書として1枚にまとめて各社へ同じものを渡すと、返ってくる提案の粒度がそろいます。
提案を比べるときに確認する項目
提案を比べる段階では、デザインの見た目より、公開後に自社が何をできる状態で納品されるかを確認します。構築が終わった後の運用を誰がどう担うかで、翌年以降の負担が変わるからです。
提案を比べるときに確認する項目は、以下のとおりです。
- 公開後に社内だけで記事の入稿と修正ができる形で納品されるか
- CMSとサーバーの保守をどちらが担い、費用はどう発生するか
- 記事の制作が含まれるか、含まれる場合の本数と工程
- 計測環境の設定とレポートの提出が含まれるか
- 契約が終わった後にサイトと記事のデータを自社に残せるか
金額だけで比べると、保守や記事制作を含まない提案が最も安く見えます。含まれる範囲を表に並べ直してから金額を比べると、実際の負担の差がわかります。
オウンドメディア構築でよくある失敗例
オウンドメディアの構築でつまずく企業には、共通した型があります。どれも公開前の判断に原因があり、公開後に気づいても取り返すのに時間がかかる内容です。オウンドメディア構築でよくある失敗例は、以下の6つです。
- 目的と成果地点を決めないまま公開する
- サイトの完成をゴールにして記事の準備が間に合わない
- キーワードを選ばずに書きたい記事から作る
- 担当者1人に任せて更新が止まる
- 計測環境を用意しないまま運用を始める
- 半年たたないうちに成果がないと判断して打ち切る
目的と成果地点を決めないまま公開する
最も多い失敗は、目的を「認知を広げる」のような曖昧な言葉のまま公開してしまうケースです。成果地点が決まっていないため、記事の良し悪しを判断する基準が社内に存在しません。
基準がないメディアでは、上司から「この記事は何の役に立つのか」と問われたときに答えられません。答えられない状態が続くと、翌年の予算審議で真っ先に削られます。
対処は、公開前に成果地点を1つに絞ることです。問い合わせ・資料請求・採用エントリーのどれを数えるかを決めれば、記事のテーマも自動的に絞り込まれます。
サイトの完成をゴールにして記事の準備が間に合わない
制作会社との打ち合わせはサイトの仕様が中心になるため、記事の準備が後回しになりがちです。デザインが完成した時点で予算と気力を使い切り、記事が数本しかない状態で公開する事例は珍しくありません。
記事の少ないメディアは、検索エンジンからも読者からもサイトの主題が読み取れません。1記事あたりの制作には企画から公開まで複数の工程があるため、公開直前に本数をそろえる進め方は成立しないのが実情です。
サイトの制作と記事の制作は、並行して進めます。デザインの確定を待たずに、キーワードの一覧表から先に執筆へ入る段取りが有効です。
キーワードを選ばずに書きたい記事から作る
社内で書きやすいテーマから記事を作ると、公開の初速は出ます。ところが検索されていない言葉で書かれた記事は、公開後に流入が伸びません。
自社が伝えたい内容と、読者が検索している言葉は一致しないのが普通です。新サービスの開発秘話や社内イベントの報告は、社内で人気が出やすい一方、検索する人がほとんどいないテーマにあたります。
記事の一覧表を先に作り、検索されている言葉から順に着手する進め方が有効です。伝えたい内容は、検索されているテーマの記事の中で自社の視点として書き込むと、両方を満たせます。
担当者1人に任せて更新が止まる
担当者を1人だけ置いた体制は、立ち上げ直後は速く進みます。問題は、その担当者が異動・休職・繁忙期の本業対応のいずれかに入った瞬間に、更新が完全に止まる点です。
更新が止まったメディアは、順位が下がるより先に社内の関心を失います。再開しようとした時点で、当時の判断基準を知る人が社内に残っていない状態です。
役割を分けられない規模であっても、記事の企画と執筆を別の人が担う形までは分けておきます。工程を2人以上で回すと、片方が抜けても止まりません。
計測環境を用意しないまま運用を始める
Googleアナリティクスの設定を後回しにしたまま公開すると、公開直後のデータが残りません。どの記事が読まれ始めたかがわからず、リライトの判断材料を失います。
成果が出ていないのか、データを見ていないだけなのかも区別できません。区別できないまま数か月が過ぎると、社内の議論が「なんとなく伸びていない」という印象論になります。
Search ConsoleとGoogleアナリティクスは、どちらも無料で導入できます。公開前に設定を終わらせ、最初の1か月から数値を蓄積してください。
半年たたないうちに成果がないと判断して打ち切る
オウンドメディアの成果が見え始めるまでには、半年から1年程度かかります。3か月の実績だけで判断すると、順位が上がり始める直前に打ち切る結果になりかねません。
短期で判断してしまう原因は、立ち上げ時に期間の見通しを社内で共有していない点にあります。広告と同じ感覚で成果を求める経営層にとって、数か月で数字が動かないメディアは打ち切りの対象です。
企画の段階で、成果地点の件数を見る時期と、それまでに見る手前の指標を決めておきます。公開記事数・検索順位・検索経由のセッション数を毎月報告していれば、成果地点の件数が動く前でも進捗を説明できます。
オウンドメディアの構築は目的設計から始めましょう
オウンドメディアの構築は、サイトを作る作業ではなく、公開前に判断を積み上げる作業です。目的と成果地点を最初に決めておけば、キーワードもCMSも体制も、その1点から逆算して決まります。
オウンドメディア構築の手順は、以下の6ステップです。
- メディアの目的と成果地点を決める
- 読者像と扱うテーマの範囲を決める
- 検索キーワードを選んで記事の全体設計を作る
- CMSとドメイン・サーバーを決める
- 運用体制と記事の制作フローを決める
- 初期記事を公開して計測環境を整える
CMSは保守を担う人が社内にいるかどうかで絞り込み、体制は編集長を社内に置いたうえで工程ごとに内製と外注を切り分けます。制作会社へ依頼する場合も、目的・読者・テーマの範囲は自社で決めてから相談すると、提案の比較が可能です。
成果が見え始めるまでには半年から1年程度かかります。期間の見通しを先に社内で共有しておけば、途中の数字で打ち切られることなく運用を続けられます。まずはメディアの目的と成果地点を1枚の紙にまとめるところから着手しましょう。
ご依頼・ご相談を検討中の方は、こちらからお問い合わせください。
