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BtoBオウンドメディアの成果指標と記事企画!体制と失敗例まで徹底解説

BtoBオウンドメディアで成果が出るまで。3か月、6か月、12か月の3点を置いた時間軸の図。

昨年立ち上げたオウンドメディアは、月に4本の記事を公開し、検索からのアクセスも積み上がってきました。それでも営業会議で「この記事から商談は何件出たのか」と聞かれると、手元の数字では答えが出せない状態です。BtoBのオウンドメディアは、記事の本数を増やすだけでは商談につながる形になりません。

この記事では、BtoBオウンドメディアの特徴と成果指標の決め方を解説します。記事企画・ホワイトペーパーとの組み合わせ・運営体制・失敗例・外部に依頼するときの見極め方も取り上げます。記事を読めば、自社のメディアを何で評価し、どの工程を誰が担うのかの判断が可能です。BtoBオウンドメディアは、フェーズごとに見る指標を変え、営業部門と成果の定義をそろえたときに商談へつながります。

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BtoBオウンドメディアがBtoCと異なる3つの特徴

オウンドメディアとは、自社で保有して情報を発信するWebメディアのことです。BtoBでは読者の母数が小さく、発注までの時間も長いため、BtoCと同じ運営方法を持ち込むとアクセス数だけが増えて商談は生まれません。BtoBオウンドメディアがBtoCと異なる特徴は、以下の3つです。

  • 製品やサービスの検討期間が長い
  • 意思決定に複数の担当者が関わる
  • 読者が求める情報の専門性が高い

製品やサービスの検討期間が長い

BtoBの発注は、読者が記事を読んだその日には決まりません。予算の確保と社内稟議の手順を挟むため、記事を読んでから発注までに数か月単位の時間がかかります。同じ読者が期間をあけて何度も自社のメディアを訪れ、少しずつ判断材料を集めていくのが一般的な流れです。

検討期間の長さは、記事の作り方を変えます。1本の記事ですべてを説明しようとせず、検討の段階ごとに読む記事を分けて用意する方法が有効です。

課題に気づいた段階の読者には、課題の整理や原因の解説が役立ちます。比較を始めた段階の読者に必要なのは、選び方の観点や判断基準です。社内を説得する段階の読者に向けては、上司へ提出できる資料を用意します。

意思決定に複数の担当者が関わる

BtoBの発注は、記事を読んだ担当者1人の判断では決まりません。現場の担当者、情報システムや法務などの関連部門、予算を持つ決裁者が、それぞれ別の観点で可否を判断します。記事を読む人と発注を決める人が違うため、担当者が社内で説明するための材料までメディア側で用意する必要があります。

用意する材料は、導入で何がどう変わるのかを整理した資料や、比較の観点をまとめた資料です。たとえば、担当者が上司を説得するための稟議用資料を記事内に配置する形は、ペルソナを具体化すると見えてくる施策の一つです。

読者を1人の個人として描くだけでは、この材料は設計できません。読者の後ろに何人の判断者がいて、その人たちが何を根拠に判断するのかまで考えるのがBtoBの企画です。

読者が求める情報の専門性が高い

BtoBオウンドメディアの読者は、自分の業務で使う情報を探しています。一般的な入門記事は社内の他部署への説明には使えますが、検討段階の担当者には物足りません。業務の手順、社内で起きる障害、導入後の運用まで踏み込んだ記事が読まれます。

読者が検索する語も業界用語が中心になり、1語あたりの検索数はBtoCより小さくなります。BtoB企業のオウンドメディアを支援する各社が、テーマを絞って専門性を高める設計を共通して挙げているのは、この検索行動に合わせるためです。

検索数の小さいキーワードでも、1件あたりの取引額が大きいBtoBでは成果につながります。キーワードはアクセス数の大きさではなく、検索する人の職種と課題が自社の顧客像に合うかどうかで選びましょう。

BtoBオウンドメディアの成果指標はフェーズごとに変える

BtoBオウンドメディアで最も多い行き違いは、立ち上げ直後から商談数で評価されることです。検索からの流入は記事の蓄積に時間がかかるため、初期に商談数だけを見ると、成果が出る前に予算を打ち切られます。フェーズごとに置く成果指標は、以下のとおりです。

  • 立ち上げ期は公開本数と検索順位で進捗を見る
  • 中期はCV数とCV率で記事の質を見る
  • 定着期は商談数で事業への貢献を見る
  • MQLとSQLの定義を営業部門とそろえる

立ち上げ期は公開本数と検索順位で進捗を見る

立ち上げから最初の半年から1年は、記事の公開本数と対象キーワードの検索順位をKPIに置きます。KPIとは、最終目標に到達したかどうかを途中で確認するための中間指標のことです。SEOは成果が出るまでに半年以上かかることも多いため、初年度のKPIはCV数ではなく、記事の公開本数と特定のニッチキーワードでの検索順位に置くのが現実的です。

検索順位の確認に使うのは、Googleが無料で提供するSearch Consoleです。Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、クリック数はユーザーがGoogle検索の検索結果からサイトをクリックした回数、表示回数はサイトが検索結果に表示された回数と定義されています。CTRはクリック数を表示回数で割った値、平均掲載順位は検索結果におけるサイトの最上位の平均掲載順位です。

この時期の報告では、表示回数の伸びを必ず添えましょう。クリックがまだ発生していないキーワードでも、表示回数が増えていればGoogleに記事が認識されている状態だと説明できます。

中期はCV数とCV率で記事の質を見る

流入が積み上がってきたら、CV数とCV率を指標に加えます。CVとはコンバージョンの略で、資料請求や問い合わせなど、メディア上で読者に取ってほしい行動のことです。CV率は、訪問した人のうちCVに至った人の割合を指します。

指標は単独で置かず、最終目標から分解した形で並べると納得が得られます。たとえば月間商談獲得10件をKGIに置く場合、KPIツリーは4階層に分解できます。下の階層には、CV数(資料ダウンロード・問い合わせ)50件とCV率1.0%・セッション数5,000・新規記事公開数月4本とリライト数月2本が並ぶ形です。KGIとは、事業として最終的に達成したい目標を指します。

KPIツリーは上から下に分解し、実行は下から上に積み上げます。分解しておくと、CV数が足りない原因がセッション数なのかCV率なのかを、その月のうちに切り分けられます。

定着期は商談数で事業への貢献を見る

CVが安定してきた段階で、商談数を成果指標の中心に移します。BtoBでは資料をダウンロードした人がすぐ商談に進むとは限らず、資料請求の件数だけを追うと営業部門との評価がずれがちです。

BtoBオウンドメディアの主要なKPIには、UU数・PV数・記事からのCV数・商談化数がよく使われます。商談から受注まで時間がかかるBtoBでは、売上を直接追うよりも、商談化数までを見るほうが実務的です。これは、売上そのものではなく商談化数までをメディアの責任範囲に置く考え方です。

商談数を見るには、記事から発生したリードがその後どうなったかを追える状態が前提になります。フォームの入力データとその後の商談記録が別々の場所に散らばっていると、この指標は作れません。

MQLとSQLの定義を営業部門とそろえる

商談数で評価するなら、どのリードを営業に渡すのかの基準をマーケティング側と営業側で合わせます。HubSpotは、MQL(Marketing Qualified Lead)をマーケティング活動を通じて購入や成約の可能性が比較的高いと見なされる見込み客、SQL(Sales Qualified Lead)を営業部門が営業活動を進める顧客と説明しています。潜在顧客からリード、MQL、SQL、商談を経て顧客化に至る流れです。

MQLの基準づくりでは、どのコンテンツへの反応をMQLとするか、どのような属性をMQLとするか、どのような課題を持つ人をMQLと見なすかの3点を決めます。3点を文書にしておくと、営業部門から「質が低い」と言われたときの話し合いを、基準のどこを直すのかという議論に変えることが可能です。

HubSpotは、MQLの定義を四半期ごとに評価して調整する運用も挙げています。立ち上げ期に決めた基準は、記事が増えて流入の種類が変わると合わなくなるためです。

BtoBオウンドメディアの記事企画の立て方

BtoBオウンドメディアの記事企画は、書けるテーマを並べるところから始めると、社内で書きやすい話ばかりが並びます。読者の検討段階と自社が持つ情報の両方から組み立てると、商談につながる記事だけを選べます。記事企画の手順は、以下の4つです。

  • 読者を職種と社内での立場まで具体化する
  • キーワードを検討段階で3つに分ける
  • 自社の一次情報を記事の中心に置く
  • 公開後のリライトを前提に企画する

読者を職種と社内での立場まで具体化する

BtoBのペルソナは、年齢や趣味ではなく仕事の条件で描きます。ペルソナとは、記事を読む代表的な人物像のことです。業種・企業規模・部署・役職・担当している業務・いま困っていること・決裁できる金額の範囲まで書き出すと、記事で答えるべき問いが決まります。

同じテーマでも、担当者向けと決裁者向けでは必要な内容が変わります。担当者は手順と失敗しない進め方を知りたい一方、決裁者が知りたいのは投資に見合うかどうかの判断材料です。1本の記事で両方に答えようとせず、どちらに向けた記事なのかを企画の時点で決めておきましょう。

読者像は営業部門の実感と突き合わせて確定させます。マーケティング側だけで作ったペルソナは、実際に商談に来る企業とずれることが珍しくありません。

キーワードを検討段階で3つに分ける

キーワードは検索数の大きい順ではなく、読者の検討段階で3つに分けて選びます。検討段階ごとに記事の役割が変わるためです。分け方は以下のとおりです。

  • 課題に気づいた段階で検索される語
  • 解決手段を比較している段階で検索される語
  • 発注先を探している段階で検索される語

課題に気づいた段階の語は検索数が大きく、読者の幅も広いものの、すぐには商談になりません。比較段階の語は検索数が小さい代わりに、資料請求へ進む割合が高くなります。発注先を探す段階の語は、サービス名や「代行」「外注」などが付く語で、記事を公開すればそのまま問い合わせにつながる位置づけです。

立ち上げ期に発注段階の語から着手すると、少ない記事数でも商談が生まれ、社内で継続の判断を得やすくなります。課題段階の語は記事数が必要になるため、体制が安定してから広げるのが現実的な順番です。

自社の一次情報を記事の中心に置く

検索した読者が他社の記事ではなく自社の記事を読む理由は、自社にしかない情報です。Googleは検索セントラルで、有用で信頼性の高いコンテンツの評価観点として、独自の情報・レポート・研究・分析の結果を提示しているか、詳細または包括的な説明を含んでいるかを挙げています。

コンテンツを誰が、どのように、なぜ作成したのかを明確にすることも、Googleがすすめている観点です。誰がについては著者情報の記載、どのようにについては制作の過程の説明、なぜについては人の役に立つために作られているかどうかを指します。検索順位を操作する目的で作られたコンテンツは、スパムポリシー違反という位置づけです。

BtoB企業にとっての一次情報は、導入企業の事例・営業現場で実際に聞かれる質問・自社で取った調査データ・失敗して作り直した経験です。専門用語は初出で意味を書き添え、社内では当たり前になっている前提まで説明する必要があります。

公開後のリライトを前提に企画する

記事は公開して終わりではなく、公開後の順位と流入を見て手を入れます。BtoBのテーマは制度変更や製品仕様の更新が多く、内容が古いまま残ると信頼を損ねる原因です。

リライトによる順位の維持は、オウンドメディアの運用に欠かせない作業です。先ほどのKPIツリーの例でも、新規記事の公開本数と並んでリライト本数を月単位の実行指標に置いています。

企画の段階で、月の制作枠のうち何本をリライトに充てるかを決めておきましょう。新規記事だけで枠を埋めると、順位が下がった記事が放置されたままになります。

記事とホワイトペーパーを組み合わせて資料請求につなげる

BtoBオウンドメディアでは、記事を読んだだけの読者は誰なのかがわかりません。連絡先と引き換えに資料を渡すホワイトペーパーを置くと、記事の読者を追跡できるリードに変えられます。ホワイトペーパーの組み込み方は、以下の4つです。

  • ホワイトペーパーの型を4つから選ぶ
  • 記事のテーマと資料の内容を対応させる
  • 入力フォームの項目を絞る
  • 個人情報の利用目的を明示する

ホワイトペーパーの型を4つから選ぶ

ホワイトペーパーとは、見込み顧客にとって役立つ情報をまとめた資料のことで、お役立ち資料とも呼ばれます。ホワイトペーパーの主な型には、課題解決型・ワークシート型・事例紹介型・レポート型の4つがあります。

課題解決型は、課題の説明から分析・解決策・自社ソリューションの紹介へと進む構成です。ワークシート型は実務で記入して使う資料、事例紹介型は導入事例をまとめた資料、レポート型は業界データや市場分析を要約した資料を指します。

標準的な構成は表紙・目的・目次・内容・会社概要・問い合わせ先で、内容は10〜20ページが目安です。最初の1本は、営業が商談でよく使っている説明資料を作り直す形が現実的です。

記事のテーマと資料の内容を対応させる

ホワイトペーパーは、1種類を全記事の末尾に置くだけでは反応が伸びません。記事で扱った課題の続きが読める資料を、その記事の中に置きます。

比較段階の記事には選定基準のチェックリスト、課題段階の記事には課題の整理に使えるワークシートというように、読者の検討段階に合わせて資料を出し分けましょう。記事とホワイトペーパーの対応表を作っておくと、どの記事にどの資料が不足しているかが一覧で見えます。

ダウンロードを増やす方法としては、記事内の複数箇所に設置してポップアップも活用する方法や、SEO記事とセットで複数のチャネルから配信する方法があります。

入力フォームの項目を絞る

資料請求フォームの入力項目が多いほど、読者は途中で離脱します。ダウンロードフォームの項目は、3〜5項目に絞るのが目安です。

最初の接点で取る項目は、会社名・氏名・メールアドレス程度が適切です。従業員規模や課題の詳細は、その後のメールやセミナー申込の段階で段階的に取得する設計が実務的です。

営業部門は情報を多く求めがちですが、項目を増やして母数が減ると、結局は商談の数も減ります。どの項目が営業の初回連絡に本当に必要なのかを、両部門で1つずつ確認しましょう。

個人情報の利用目的を明示する

ホームページの入力画面で連絡先を取得する場合、原則として利用目的の明示が必要です。個人情報保護委員会は、申込書やホームページ上のユーザー入力画面で本人が直接連絡先を記入する場面について、個人情報保護法第21条第2項により原則として利用目的の明示が必要だと説明しています。

取得の状況からみて利用目的が明らかな場合は、同法第21条第4項第4号により例外的に明示が不要です。申込書から取得したメールアドレスを申込内容の確認や履行結果の通知に使う場合が、その例として挙げられています。

注意が必要なのは、資料を送った後の営業連絡やセミナーの案内です。個人情報保護委員会は、新規サービスの案内や提携先への情報提供は自明の利用目的に該当しない場合があるため明示が必要になると示しています。ホワイトペーパーのフォームには、営業目的の連絡に使うことを含めた利用目的を書き添えてください。

BtoBオウンドメディアの運営体制の作り方

BtoBオウンドメディアが止まる原因の多くは、企画の質ではなく体制にあります。専門性の高い記事は書ける人が限られ、担当者が異動すると更新が止まります。運営体制の作り方は、以下の4つです。

  • 編集の責任者を1人決める
  • 営業部門から記事の題材を集める仕組みを作る
  • 内製と外注を工程で分ける
  • 更新頻度は体制の余力から決める

編集の責任者を1人決める

メディアの品質と公開判断の責任者を1人置きます。責任者がいないメディアは、記事ごとに書き方も主張も変わり、読者から見て何の媒体なのかがわからなくなります。

責任者の役割は、企画の採否・構成の確認・公開前の最終チェック・指標の報告です。執筆まで1人で抱えると更新が止まるため、責任者は編集と判断に専念し、執筆は複数人または外部に分散させる形が続きます。

BtoB企業のオウンドメディア支援を手がける各社が、成功の条件として運用体制の整備と役割分担の明確化を共通して挙げています。人を増やすより先に決めるのは、誰が何を判断するのかです。

営業部門から記事の題材を集める仕組みを作る

BtoBオウンドメディアの題材は、営業現場にあります。商談で繰り返し聞かれる質問・失注した理由・導入後に寄せられる相談は、そのまま読者の検索意図です。

仕組みにしないと題材は集まりません。月に1回は営業担当者から直近の商談で出た質問を聞く時間を設けるなど、題材を集める手順と担当を決めておきます。

営業部門に原稿を書いてもらう必要はありません。30分の聞き取りで題材と一次情報を引き出し、記事の形にするのは編集側の仕事です。

内製と外注を工程で分ける

オウンドメディアの制作は、企画・キーワード選定・構成・執筆・監修・入稿・公開後の分析という工程に分かれます。すべてを内製しても外注しても無理が出るため、工程ごとに担当を分けます。

自社の一次情報が必要な企画と監修は内製に残し、調査量の多い執筆や入稿は外部に出す分け方が扱いやすい形です。外部のライターに書いてもらう場合も、自社の専門家が事実確認をする工程は残します。

工程表には、各工程の担当者名と締切が必要です。担当が空欄のまま運用を始めると、その工程は誰もやらないまま記事が止まります。

更新頻度は体制の余力から決める

更新頻度を決める基準は、目標から逆算した本数ではなく、いまの体制で続けられる本数です。月8本の計画を立てて途中で息切れするより、月2本を1年続けるほうが記事は積み上がります。

頻度を決めたら、企画から公開までにかかる日数も合わせて決めます。取材や監修が入るBtoBの記事は工程が多いため、公開日から逆算した進行表が必要です。

繁忙期には制作が止まります。年間の計画には、あらかじめ制作を落とす月を織り込んでおくと、止まったときに計画ごと放棄せずに済みます。

BtoBオウンドメディアでよくある失敗例

BtoBオウンドメディアの失敗は、運営の途中ではなく設計の段階で決まっていることがほとんどです。同じ失敗が繰り返されているため、着手前に知っておけば避けられます。よくある失敗例は、以下の4つです。

  • 記事を公開すること自体が目的になる
  • 自社が伝えたい話だけを書く
  • 成果が出る前に運営をやめる
  • アクセス数だけでメディアを評価する

記事を公開すること自体が目的になる

公開本数を追ううちに、何のための記事なのかが抜け落ちる状態です。戦略がないまま「とりあえず記事を書く」ところから始めると、記事を作ること自体が目的になりがちです。

防ぐには、企画の段階で1本ごとに「この記事はどの検討段階の読者に、何をしてもらう記事か」を書き添えます。書けない企画は、まだ読者が定まっていない企画です。

公開本数のKPIは立ち上げ期には有効ですが、目的とセットで運用します。本数だけが独り歩きすると、検索意図と関係のない記事で数を埋める運用に変わります。

自社が伝えたい話だけを書く

自社の製品紹介や社内の取り組みだけが並ぶメディアは、検索から人が来ません。読者が検索するのは自分の課題であって、他社の製品名ではないからです。

Googleは、主として人々の役に立つコンテンツを作ることを基本として示し、検索ランキングの操作を目的としたコンテンツをスパムポリシー違反と位置づけています。自社の話を書くこと自体は問題ではなく、読者の課題に答える中で自社の解決策を示す順番が求められます。

製品に触れる記事と、課題の解決に徹する記事の比率を決めておくと偏りません。比較段階の読者には製品情報が必要になるため、記事ごとに役割を分けて配置します。

成果が出る前に運営をやめる

BtoBオウンドメディアは、成果が出るまでに時間がかかります。BtoB向けの支援各社が、効果が表れるまでの時間の長さを運営上の注意点として共通して挙げており、中長期の視野で継続する前提が必要です。

短期で判断されないために、立ち上げの時点で評価の時間軸を経営層と合意しておきます。半年後に何を見るのか、1年後に何を見るのかを先に決めておけば、初期にアクセス数が伸びなくても即座に打ち切られません。

途中で予算が縮小されたときは、新規記事を止めてでもリライトと分析は残しましょう。公開済みの記事は、更新を続ける限り流入を生み続けます。

アクセス数だけでメディアを評価する

PV数の増加を報告し続けるうちに、商談との関係を誰も説明できなくなる状態です。BtoBのオウンドメディアでは、アクセス数だけを追う運用では成果につながりにくく、商談やリード育成にどれだけ寄与しているかを見ることが重要です。

対策は、報告のフォーマットを固定することです。セッション数・CV数・CV率・商談化数を毎月同じ並びで報告すれば、どこで詰まっているのかが自然に共有されます。

アクセス数の多い記事が商談を生んでいないとわかったら、その記事の読者層を見直します。原因として考えられるのは、検索数の大きいキーワードで集めた読者が自社の顧客像と合っていない状態です。

BtoBオウンドメディアの運用を外部に依頼するときの見極め方

社内のリソースが足りない場合、運用の一部を外部に依頼する選択肢があります。BtoBは専門性が高く、任せきりにすると内容の薄い記事が積み上がるため、依頼先の選び方と依頼範囲の決め方が成果を左右します。見極め方は、以下の4つです。

  • 支援範囲を工程ごとに確認する
  • 検索順位を保証する会社は候補から外す
  • 料金の内訳を実例と照らして読む
  • 自社の知見を引き出す取材があるか確認する

支援範囲を工程ごとに確認する

「オウンドメディア運用代行」という同じ名称でも、支援範囲は会社ごとに違います。戦略設計から記事制作・入稿・分析・リライトまで一貫して請け負う会社もあれば、記事の執筆だけを請け負う会社もあります。

見積もりを比べる前に必要なのが、自社で作る工程表です。企画・キーワード選定・構成・執筆・監修・入稿・分析・リライトの各工程について、どちらが担当するのかを依頼先に埋めてもらいましょう。工程表があれば、金額の差が支援範囲の差なのか単価の差なのかを判別できます。

社内に残す工程を同時に決めることも必要です。自社の一次情報が必要な監修まで外部に渡すと、BtoBの記事から専門性が失われます。

検索順位を保証する会社は候補から外す

警戒すべき兆候の判断材料になるのは、Googleが検索セントラルで示しているSEO業者選びの記述です。検索結果の最初のページに必ず表示されるといった保証は警戒信号とされ、無差別なメール送信・掲載順位の保証・不透明な作業・無効なリンク対策の宣伝も注意すべき行為として挙げられています。

候補となる業者への質問としてGoogleが挙げているのは、過去の事例、Googleが定める基本事項への準拠状況、期待される成果とその測定方法です。過去の取引先へ、提供されたサービスが役に立ったか、連携がスムーズだったかを確認する方法も示されています。

Search Consoleの権限を渡す場合にGoogleが案内しているのは、読み取り権限のみの付与です。権限の範囲は契約時に決めておく項目です。

料金の内訳を実例と照らして読む

料金は会社ごとに幅があるため、金額の大小ではなく内訳で比べます。料金の例を見ると、支援範囲と金額の対応がわかりやすくなります。

たとえば株式会社メリルでは、判断を担うSEOコンサルティングを月額30万円、実務を担うサイト運用代行を月額20万円で提供しています。判断と実務のどちらを外部に任せるかによって、依頼する範囲と金額が変わる例です。

記事の執筆だけを依頼する場合は、文字数での課金が中心です。文字単価とは別に、CMSへの記事のアップや新規ページの作成を追加料金としている会社もあるため、記事1本を公開するまでの総額で比べましょう。

自社の知見を引き出す取材があるか確認する

BtoBの記事は、依頼先が調べて書けるものと、自社に聞かなければ書けないものに分かれます。他社の記事を読み比べただけで書かれた記事は、検索結果に並ぶ他社の記事と内容が重なります。

依頼先の候補には、初回の取材にどれくらいの時間をかけるのか、誰に取材するのか、取材した内容をどう記事に落とすのかを聞きましょう。定期的な取材の枠を提案してくる会社は、自社の一次情報を記事に反映する前提で設計しています。

あわせて確認したいのが、過去の制作物です。同じ業界の記事に具体的な数字や現場の手順が入っていれば、取材ができる会社だと判断する材料になります。

BtoBオウンドメディアは指標と体制を決めてから記事を増やしましょう

BtoBオウンドメディアは、検討期間が長く、複数の担当者が判断に関わり、読者が求める情報の専門性が高い媒体です。BtoCと同じようにアクセス数を追うと、記事が増えても商談は生まれません。

成果を出すために決めておく項目は、次のとおりです。

  • フェーズごとの成果指標(立ち上げ期は公開本数と検索順位、中期はCV数とCV率、定着期は商談数)
  • 営業部門と合意したMQLとSQLの定義
  • 検討段階で3つに分けたキーワードと、記事ごとの読者像
  • 記事に対応させたホワイトペーパーと、利用目的を明示したフォーム
  • 編集責任者と、工程ごとの内製・外注の分担

この5項目が決まっていれば、記事が積み上がるほど商談は増えます。決まっていないまま本数だけを追うと、1年後に残るのは読まれない記事と、成果を説明できない報告書です。

まずは営業担当者に30分の時間をもらい、商談でよく聞かれる質問を10個書き出すところから始めましょう。その10個が、最初に作るべき記事とホワイトペーパーの企画になります。

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