
会社のサイトにコラムを月に数本ずつ公開し続けて半年、アクセス解析を開くと訪問の大半は社名での検索と社員のアクセスで、問い合わせフォームからの連絡は1件も増えていません。上司からは「記事を書いているのに集客できていない」と指摘され、記事の本数を増やすべきか、書き方を変えるべきか判断がつかない状態です。オウンドメディアの集客は、記事を増やせば自動的に問い合わせが届く仕組みではなく、検索で見つかる記事と、読んだ人を問い合わせまで運ぶ導線の両方がそろって初めて動きます。
この記事では、オウンドメディア集客が成り立つ仕組み、集客の手順、検索以外の流入経路、伸びない原因、成果が出るまでの期間の考え方を解説します。記事を読めば、自社のオウンドメディアがどの段階で止まっているかを数字で特定し、次に直す場所を決めることが可能です。オウンドメディアの集客は、検索意図に答える記事を積み上げ、記事から成果地点までの導線を作り、半年から1年の単位で指標を見て直す仕組みで成り立ちます。
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オウンドメディア集客が成り立つ仕組み
オウンドメディアとは、企業が自社で所有し運営する情報発信の媒体で、自社サイト内のコラムやブログ、専門情報サイトが該当します。オウンドメディアの集客は、検索エンジンで記事が見つかり、読んだ人が問い合わせや資料請求に進む流れが一本につながって成り立ちます。オウンドメディア集客が成り立つ仕組みは、次の4段階です。
- 検索エンジンに記事が登録されて検索結果に並ぶ
- 検索した人が検索結果から記事をクリックして読む
- 記事を読んだ人が問い合わせや資料請求に進む
- 公開した記事が資産として残り流入が積み上がる
検索エンジンに記事が登録されて検索結果に並ぶ
記事を公開しただけでは、検索結果には並びません。Google検索セントラルの解説によると、Google検索はクロール・インデックス登録・検索結果の表示の3段階で動いています。クロールとは、クローラーと呼ばれる自動プログラムがウェブ上のページを見つけて内容をダウンロードする工程です。インデックス登録とは、ダウンロードしたページの内容を分析してGoogleのデータベースに保存する工程を指します。
新しい記事は、すでに登録されている他のページからのリンクをたどるか、サイトマップの送信によって発見される仕組みです。Google検索セントラルは、インデックス登録は保証されているわけではなく、すべてのページが登録されるとは限らないと明記しています。公開した記事が登録されているかどうかは、Search Consoleで確認が可能です。Search Consoleとは、Googleが無料で提供する、検索結果でのサイトの状態を確認するツールのことです。
登録までの時間には幅があります。Google検索セントラルは、Googleが新しいサイトや既存サイトの変更に気付くまでに数週間かかる場合があると案内しています。検索結果で見つかりやすくするための取り組みであるSEO(検索エンジン最適化)の基本をまとめたSEOスターターガイドでも、変更の反映には数時間で済むものから数か月かかるものまであり、一般的には数週間待ってから確認するよう推奨されています。
検索した人が検索結果から記事をクリックして読む
登録された記事は、検索した語句との関連性と品質で順位が決まり、検索結果に表示されます。Google検索セントラルの説明では、ユーザーが検索語句を入力すると、インデックスから一致するページが検索され、関連性が高く高品質と判断された結果が返される仕組みです。表示されても順位が低ければ、クリックはほとんど発生しません。
検索結果に表示された回数とクリックされた回数は、Search Consoleの検索パフォーマンスレポートで確認が可能です。Search Consoleのヘルプでは、クリック数を検索結果からサイトがクリックされた回数、表示回数をサイトへのリンクが検索結果に表示された回数と説明しています。クリック数を表示回数で割った値がCTR(クリック率)で、検索結果に出たときにどれだけ選ばれているかを表す指標です。
クリックされるかどうかは、検索結果に表示されるタイトルと説明文で決まります。SEOスターターガイドの案内によると、タイトルはそのページに固有で明確かつ簡潔なものが適切です。検索した人が「自分の知りたいことが書いてある」と判断できるタイトルであれば、同じ順位でもクリックは増えます。
記事を読んだ人が問い合わせや資料請求に進む
記事が読まれた後、問い合わせ・資料請求・見積もり依頼などの行動に進んで初めて集客の成果になります。どの行動を成果とするかは、企業ごとに決めるものです。記事の末尾や途中に、成果につながるページへの案内がなければ、読み終えた人はそのまま離脱します。
成果の発生は、Googleアナリティクスで計測が可能です。Googleアナリティクスのヘルプでは、ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベントを「キーイベント」と呼び、任意のイベントをキーイベントとして指定できると案内しています。問い合わせフォームの送信完了や資料のダウンロードをキーイベントに設定すると、どの記事から成果が発生したかを確認できます。
記事を読んだ人がすぐに問い合わせるとは限りません。読んだ直後に行動しない人に向けて、メールマガジンの登録や資料のダウンロードのような、問い合わせより手前の行動を用意しておくと、接点を保てます。オウンドメディアの集客では、問い合わせだけを唯一の成果地点にせず、段階を分けて設計するのが基本です。
公開した記事が資産として残り流入が積み上がる
検索経由の集客は、広告のように、出稿を止めた瞬間に流入が消えることはありません。検索結果で上位に表示された記事は、公開後も検索されるたびに読まれ続けます。記事を1本ずつ増やすほど、検索結果に表示される語句の数が増え、月ごとの流入が積み上がる構造です。
積み上がる速さは、記事の内容と競合の状況で変わります。同じ語句を狙う記事が多い分野では、上位に入るまでの期間が長くなります。反対に、自社の事業に近い具体的な語句は競合が少なく、早く上位に入る傾向です。
積み上げの土台は、記事どうしのつながりです。Google検索セントラルは、関心のあるすべてのページに、同じサイト上の少なくとも1つの別のページからのリンクがあることを推奨しています。関連する記事どうしをリンクでつなぐと、読者は次の記事へ進みやすくなり、検索エンジンも新しい記事を見つけやすくなります。
オウンドメディアで集客する手順
仕組みがわかっても、着手の順番を間違えると記事だけが増えて成果につながりません。オウンドメディアで集客する手順は、次の5工程です。
- 集客の目的と成果地点を決める
- 読者像と検索キーワードを選ぶ
- 検索意図に答える記事を作る
- 記事から成果地点までの導線を作る
- 公開後に指標を計測して直す
集客の目的と成果地点を決める
最初に決めるのは、オウンドメディアで何を増やしたいかです。問い合わせ・資料請求・採用応募・店舗への来店など、目的によって狙う語句も記事の内容も変わります。「集客したい」のままでは、記事を書く担当者が何を書けばよいか判断できません。
目的が決まったら、成果地点を1つの行動に落とし込みます。成果地点の例は、以下のとおりです。
- 問い合わせフォームの送信
- 資料のダウンロード
- 見積もりの依頼
- メールマガジンの登録
- セミナーへの申し込み
成果地点は、月に何件を目指すかまで数字にします。目標の数字があれば、公開後に「足りているか」「どの段階で落ちているか」の判断が可能です。数字がないと、記事の本数だけが進捗の指標になり、集客の成否を見失います。
読者像と検索キーワードを選ぶ
次に決めるのは、誰に読んでもらうかです。業種や役職だけでなく、その人が抱える課題と、課題を解決しようとして検索する語句まで具体化します。読者像が具体的であるほど、記事の内容と語句の選定がぶれません。
検索キーワードは、読者像の人が実際に入力する語句から選びます。キーワードを選ぶときに確認する項目は、次のとおりです。
- 自社の商品やサービスで解決できる課題に関する語句か
- 月にどれくらい検索されている語句か
- 検索結果の上位にどのような企業の記事が並んでいるか
- 検索した人が知りたいことは何か
検索した人が知りたいことを「検索意図」と呼びます。同じ語句でも、意味を知りたい人、やり方を知りたい人、依頼先を探している人では求める記事が別物です。検索結果の上位に並ぶ記事を実際に開き、どの意図に答えているかを確認してから記事の内容を決めます。
大きな語句ばかりを狙うと、上位に入るまで時間がかかります。立ち上げ直後は、自社の事業に近く具体的な語句を優先し、成果地点に近い読者から集める順番が現実的です。
検索意図に答える記事を作る
記事の中身で必要なのは、検索した人の知りたいことに答える内容です。Google検索セントラルの「有用で信頼性の高いコンテンツの作成」では、Googleのランキングシステムは、検索エンジンでのランキングを操作する目的で作られたコンテンツではなく、ユーザーにメリットをもたらすことを目的として作られた有用で信頼できる情報を上位に掲載するよう設計されていると説明されています。
記事の内容を判断する基準として、Google検索セントラルは自己評価の質問を示しています。自己評価の質問のうち、記事を作る前に確認したい項目は以下のとおりです。
- サイトに直接訪問する人にとって有用と思える内容か
- 実体験や深い知識を示しているか
- 読み終えた人が目的を果たせたと感じる情報量か
- 独自の情報や調査結果を提示しているか
- 著者情報や信頼性の証拠を示しているか
同じ資料では、ランキングシステムがさまざまな要因を組み合わせて、経験・専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)を備えたコンテンツを特定しており、なかでも信頼性が最も重要だと説明されています。自社の事例、現場の数字、担当者の実務経験は、他社が書けない内容です。一般論だけを並べた記事は、同じ語句を狙う他社の記事と区別がつきません。
記事の長さは、内容に合わせて決めます。SEOスターターガイドは、コンテンツの長さだけを調節する最適化を避けるべきものとして挙げています。「何字以上が有利」と決めて水増しするのではなく、検索意図に答え切るために必要な分量を書くのが適切です。
記事の最後には、書いた人の名前と立場を載せます。Google検索セントラルは「誰が、どのように、なぜ」の観点として、著者を明確にして背景や専門分野を示すこと、自動化やAIの使用を開示することを挙げています。
記事から成果地点までの導線を作る
記事を読み終えた人を成果地点まで運ぶ道筋が導線です。導線がない記事は、読まれても問い合わせにつながりません。記事に設置する導線の例は、次のとおりです。
- 記事の末尾に置く問い合わせや資料請求への案内
- 記事の途中に置く関連サービスの紹介
- 関連する記事への内部リンク
- メールマガジン登録や資料ダウンロードの案内
案内の文言は、記事の内容とつなげます。「お問い合わせはこちら」だけでは、読者は何を相談できるのかわかりません。記事で扱った課題を自社がどう解決できるかを1〜2文で示し、その直後に案内を置くと自然につながります。
内部リンクの文言にも注意が必要です。Google検索セントラルは、リンクのテキストを具体的で簡潔にし、「こちら」「詳細」のような文言を避け、リンク先ページの内容を反映させるよう案内しています。リンクのテキストが、ユーザーとGoogleの両方にリンク先の内容を伝える役割を持つためです。
成果地点のページ自体も確認します。問い合わせフォームの入力項目が多すぎる、スマートフォンで入力しにくい、送信後に何が起こるかわからない、のいずれかがあると、記事まで来た人が最後で離脱します。
公開後に指標を計測して直す
公開して終わりにせず、数字を見て直す工程が集客を左右します。確認する指標は段階ごとに分けます。集客の段階ごとに見る指標とツールは、以下の表のとおりです。
| 段階 | 見る指標 | 確認するツール |
|---|---|---|
| 検索結果に並ぶ | 登録済みページ数、表示回数、平均掲載順位 | Search Console |
| クリックされる | クリック数、CTR | Search Console |
| 読まれる | 記事ごとの閲覧数、流入経路 | Googleアナリティクス |
| 成果地点に進む | キーイベント数、記事ごとのキーイベント数 | Googleアナリティクス |
Search Consoleでは、検索クエリごと、ページごとにクリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位を確認できます。表示回数は多いのにクリックが少ない記事はタイトルと説明文を、表示回数自体が少ない記事は内容と狙う語句を見直す対象です。
直す作業は、新しい記事を書く作業と同じくらいの比重で予定に入れます。公開から時間がたった記事を、最新の情報と検索意図に合わせて書き直す作業がリライトです。一定の順位まで来ている記事をリライトする方が、新規記事を1本増やすより早く流入が増える場合があります。
検索以外からオウンドメディアへ流入を増やす方法
オウンドメディアの集客は検索経由が中心ですが、検索だけに頼ると記事が上位に入るまでの期間は流入がほぼ発生しません。検索以外の流入経路を組み合わせると、立ち上げ期の流入を確保でき、記事を読む人の幅も広がります。検索以外にオウンドメディアへ流入を作る経路は、次のとおりです。
- 自社のSNSアカウントで記事を紹介する
- メールマガジンで新着記事を配信する
- Web広告で記事や成果地点のページに誘導する
- 外部メディアやプレスリリースで記事や取り組みを紹介してもらう
- 名刺・チラシ・展示会・セミナーで記事のURLやQRコードを案内する
SNSは、記事を公開した直後に読者へ届けられる経路です。フォロワーが少ない段階では届く人数も少ないため、記事の公開と合わせて継続して発信する前提で使います。メールマガジンは、すでに接点のある人に届くため、記事の閲覧から成果地点への進みが早い経路です。
Web広告は、費用をかけた期間だけ流入を作れる経路で、出稿を止めると流入も止まります。記事単体への広告出稿は成果地点から遠いため、成果地点のページと組み合わせて使うのが基本です。外部メディアからの紹介は、自社では届かない読者に記事が届き、外部サイトからのリンクが検索エンジンに記事を見つけてもらうきっかけにもなります。
オフラインの接点も流入経路の一つです。展示会やセミナーで配る資料に記事のURLを載せると、名刺交換した相手が後から記事を読み、問い合わせに進む道筋ができます。
オウンドメディアの集客が伸びない原因
記事を公開し続けているのに問い合わせが増えない場合、原因は「検索結果に並んでいない」「読まれていない」「読まれても成果地点に進まない」「運用が続かない」のどれかに当てはまります。オウンドメディアの集客が伸びない原因は、以下の9つです。
- 公開してからの期間と記事数が足りない
- 記事が検索エンジンに登録されていない
- 狙うキーワードが自社の規模や事業と合っていない
- 記事が検索した人の知りたいことに答えていない
- 書き手や情報の裏付けが記事に示されていない
- 記事は読まれているのに成果地点への導線がない
- サイトの表示が遅くスマートフォンで読みにくい
- 順位を狙った記事の量産やキーワードの詰め込みで評価を落としている
- 運用が担当者1人に集中して更新が止まる
公開してからの期間と記事数が足りない
公開から数か月の段階で流入が少ないのは、多くの場合、原因ではなく途中経過です。Google検索セントラルは、新しいサイトや変更に気付くまでに数週間かかる場合があると案内しており、登録された後に順位が上がるまでにはさらに時間がかかります。
記事数が少ない段階では、検索結果に表示される語句の数も限られます。1本の記事は、狙った語句とその周辺の語句でしか表示されません。記事を増やして表示される語句の幅を広げる期間が、集客の初期には必ず必要です。
期間と記事数が足りているかどうかは、Search Consoleの表示回数で判断します。表示回数が月ごとに増えていれば、記事は検索結果に並び始めています。表示回数が増えているのにクリックや問い合わせが増えない場合は、期間ではなく別の原因です。
記事が検索エンジンに登録されていない
公開した記事が登録されていなければ、どれだけ良い内容でも検索結果には並びません。Google検索セントラルは、サイトが検索結果に表示されない理由として、他のサイトからのリンクがない、新規サイトでまだクロールされていない、HTML以外の技術でクロールが難しい、ログインの要求やブロックでクロール時にエラーが起きている、を挙げています。
登録の状況は、Search Consoleで確認が可能です。Google検索セントラルは、site:演算子による検索で登録状況を大まかに確認する方法も案内していますが、この方法では登録されているすべてのURLが返るわけではないと注記しています。確実に確認するなら、サイトをSearch Consoleに登録し、エラーの有無と登録済みページを見る手順が基本です。
登録されていない場合は、サイトマップを送信し、登録済みページからリンクを設置します。新しい記事に、同じサイトの別の記事からリンクが1本もない状態は、クローラーが記事を見つける経路がない状態と同じです。
狙うキーワードが自社の規模や事業と合っていない
検索数の多い語句ばかりを狙うと、上位に大手企業や専門メディアの記事が並び、立ち上げたばかりのオウンドメディアが入り込む余地がありません。表示回数が増えず、平均掲載順位も低いままの記事が多いなら、語句の選び方が原因です。
反対に、自社の事業と無関係な語句で流入を集めても、成果地点には進みません。閲覧数は増えたのに問い合わせが増えない場合、記事を読んでいる人と自社の顧客になりうる人がずれています。
見直す手順は、成果地点に近い語句から並べ直すことです。「サービス名 比較」「課題名 解決方法」「地域名 業種名」のように、自社の顧客が契約の直前に検索する語句を優先します。検索数は少なくても、成果地点に進む割合が高い語句から積み上げる方が、集客の成果は早く出ます。
記事が検索した人の知りたいことに答えていない
記事は検索結果に並んでいてクリックもされるのに、読まれずに離脱され、順位も上がらない場合は、内容と検索意図のずれが疑われます。同じ語句で検索する人が知りたいことと、記事に書いてあることが一致していないと、読んだ人は検索結果に戻って別の記事を開きます。
Google検索セントラルの自己評価の質問には、読み終えた人が目的を達成するのに十分な情報を得たと感じるか、雑にまたは急いで制作された印象を与えないか、が含まれています。会社が書きたいことを書いた記事と、検索した人が知りたいことに答える記事は別物です。
直し方は、検索結果の上位に並ぶ記事を実際に開き、どの疑問にどの順番で答えているかを確認してから、自社の記事に足りない論点を補うことです。上位の記事の文章を写すのではなく、論点の抜けを埋めた上で、自社の経験や事例を加えます。
書き手や情報の裏付けが記事に示されていない
書き手が誰かわからず、数字や主張の根拠も示されていない記事は、読んだ人が信用できません。Google検索セントラルは、E-E-A-Tのうち信頼性を最も重要な要素と位置づけ、著者情報や信頼性の証拠を提供しているか、専門家による執筆やレビューがなされているか、を自己評価の質問に含めています。
自社の記事に足りていないものは、次の項目で確認できます。
- 記事の書き手の名前と立場が載っているか
- 数字や制度の説明に出典が示されているか
- 自社の事例や現場の経験が書かれているか
- 専門性を要する内容に社内外の専門家の確認が入っているか
裏付けの追加は、既存の記事のリライトで対応できます。書き手の情報を載せ、根拠のない数字を出典のある数字に置き換え、自社の事例を1つ加えるだけでも、記事の信頼性は変わります。
記事は読まれているのに成果地点への導線がない
閲覧数は増えているのに問い合わせが増えない場合、記事から成果地点への道筋が途切れています。記事の末尾に案内がない、案内はあるが記事の内容と関係ない、成果地点のページがスマートフォンで使いにくい、のいずれかです。
確認するのは、Googleアナリティクスの記事ごとのキーイベント数です。閲覧数の多い記事でキーイベントが発生していなければ、その記事に導線がないか、導線が読者の状況と合っていません。
直す順番は、閲覧数の多い記事からです。閲覧数の多い記事に、記事の内容に沿った案内文と成果地点への案内を加えると、新しい記事を書かなくても成果地点に進む人が増えます。問い合わせのハードルが高いと感じる読者向けに、資料のダウンロードやメールマガジンの登録のような手前の行動も用意します。
サイトの表示が遅くスマートフォンで読みにくい
記事の内容が良くても、表示が遅い、スマートフォンで文字が読みにくい、画面を覆う広告が出る、のいずれかがあると読者は離脱します。Google検索セントラルは、ページエクスペリエンスの自己評価項目として、Core Web Vitalsの良好な状態、HTTPSでの配信、モバイルデバイスでの適切な表示、主要なコンテンツを妨げるほどの大量の広告の回避、煩わしいインタースティシャルの回避、を挙げています。Core Web Vitalsとは、ページの表示速度や操作への反応、表示中のレイアウトのずれを測るGoogleの指標群のことです。
同じ資料では、検索語句に一致する有用なコンテンツが多数存在する場合、その中で順位を上げるには優れたページエクスペリエンスの実現が重要と説明されています。内容で並んだときに、読みやすさの差が順位の差になる構造です。
確認は、Search Consoleと実機(自分のスマートフォンなど)で行います。自分のスマートフォンで記事を開き、表示までの時間、文字の大きさ、問い合わせフォームの入力しやすさを確かめる作業は、今日からできます。
順位を狙った記事の量産やキーワードの詰め込みで評価を落としている
記事の本数を増やすために、内容の薄い記事を大量に公開したり、狙う語句を本文に不自然に繰り返したりすると、反対に評価を落とします。Google検索セントラルのスパムに関するポリシーでは、ユーザーをサポートすることではなく検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成する行為を「大量生成されたコンテンツの不正使用」、ランキングを操作する目的でキーワードや数字を詰め込む行為を「キーワードの乱用」と定義し、いずれもポリシー違反としています。
生成AIで記事を量産する場合も同じです。Google検索セントラルは、自動化や生成AIをランキング操作の目的で使う行為をスパムポリシー違反とする一方、AIの使用を開示して有用性を説明することを「どのように」の観点として挙げています。AIを使うこと自体ではなく、読者の役に立たない記事を量産することが問題です。
見直す基準は、Google検索セントラルが示す、検索エンジンを優先したコンテンツに関する自己評価です。検索トラフィックの増加を主目的にしていないか、さまざまなトピックで大量のコンテンツを制作していないか、Googleが好む文字数があるといった根拠のない情報に基づいて書いていないか、を記事ごとに確認します。
運用が担当者1人に集中して更新が止まる
集客が伸び始める前に更新が止まる原因の多くは、運用の体制にあります。企画・執筆・公開・計測のすべてを1人が兼任していると、本業が忙しい月に更新が止まり、担当者が異動すると再開できません。
止まらない体制を作るときに決めておく項目は、以下のとおりです。
- 月に公開する記事の本数と担当者
- 記事の企画・執筆・確認・公開の役割分担
- 記事の構成と表記のテンプレート
- 指標を確認する頻度と報告先
- 社内の専門家に確認を依頼する手順
記事の執筆を社内で回せない場合は、執筆だけを外部に出し、企画・確認・計測を社内に残す分け方があります。自社の事業と顧客を理解しているのは社内の担当者で、記事の信頼性を支える経験や事例も社内にしかありません。
オウンドメディア集客の成果が出るまでの期間の考え方
オウンドメディアの集客は、公開した月に問い合わせが増える施策ではありません。期間の目安と、期間ごとに見る指標を先に決めておくと、途中で「効果がない」と誤って判断せずに済みます。オウンドメディア集客の成果が出るまでの期間について押さえる点は、次の3つです。
- 目安は半年から1年で記事の蓄積が前提になる
- 期間ごとに見る指標を切り替える
- 成果を早めるには既存記事の改善と流入経路の組み合わせが効く
目安は半年から1年で記事の蓄積が前提になる
検索経由の集客が見え始めるまでの目安は、半年から1年です。検索エンジンへの登録に数週間、順位が安定するまでにさらに数か月かかる上に、表示される語句の幅を広げるには記事の本数が必要になるためです。目安より早く成果が出る場合もあれば、競合の多い分野では1年以上かかる場合もあります。
期間の差を生む要因は、次のとおりです。
- 狙う語句の競合の多さ
- 月に公開できる記事の本数
- 記事の内容に自社の経験や事例がどれだけ入っているか
- 記事から成果地点までの導線の有無
- 検索以外の流入経路を併用しているか
BtoB(企業向け取引)の事業では、読者が検討に時間をかけるため、記事を読んでから問い合わせに至るまでの期間も長くなります。BtoC(消費者向け取引)の事業では、読んだ直後に行動する読者の割合が比較的高く、成果の実感は早めです。
期間ごとに見る指標を切り替える
半年から1年の間、問い合わせの件数だけを見ていると、途中の進捗がわかりません。段階に応じて見る指標を変えると、進んでいるか止まっているかを判断できます。期間ごとに見る指標の目安は、以下の表のとおりです。
| 段階 | 状態 | 主に見る指標 |
|---|---|---|
| 立ち上げ期 | 記事を蓄積し検索エンジンに登録される | 登録済みページ数、表示回数 |
| 成長期 | 一部の記事が上位に入りクリックが増える | クリック数、CTR、平均掲載順位、閲覧数 |
| 成果期 | 記事から成果地点に進む人が出る | キーイベント数、記事ごとのキーイベント数 |
立ち上げ期に見るのは、表示回数が月ごとに増えているかどうかです。表示回数が増えていれば、記事は検索結果に並び始めています。成長期に見るのは、表示回数に対するクリックの割合と、順位が上がってきた記事の有無です。
成果期に入ったら、記事ごとのキーイベント数を見て、成果地点に進む人が多い記事の型を特定します。成果につながる記事の型がわかれば、次に書く記事の優先順位が決まります。
成果を早めるには既存記事の改善と流入経路の組み合わせが効く
期間を短くする手段は、新規記事の本数を増やすことだけではありません。すでに公開した記事のうち、表示回数はあるのに順位が上がりきらない記事をリライトする方が、早く流入が増える場合があります。Search Consoleで表示回数の多い順に記事を並べ、平均掲載順位が中位の記事から手を入れる順番が効率的です。
流入経路の組み合わせも期間を縮めます。記事の公開と同時にSNSとメールマガジンで届けると、検索結果に並ぶ前から読者が付き、記事の内容への反応も早く集まります。
成果地点に近い語句の記事を先に書く順番も、期間を短くする方法の一つです。検索数は少なくても、契約の直前に検索される語句で上位に入れば、記事の本数が少ない段階でも問い合わせが発生します。
オウンドメディアの集客は仕組みを整えて半年から1年の単位で育てましょう
オウンドメディアの集客は、検索エンジンに記事が登録され、検索した人がクリックして読み、成果地点に進む流れが一本につながって成り立ちます。記事の本数を増やすだけでは、この流れのどこかが途切れたまま時間だけが過ぎます。
オウンドメディア集客で押さえる点は、次の5つです。
- 集客の目的と成果地点を1つの行動と数字に落とし込む
- 自社の事業に近く成果地点に近いキーワードから記事を積み上げる
- 検索意図に答え、書き手と根拠を示した記事を作る
- 記事から成果地点までの導線を作り、閲覧数の多い記事から整える
- 段階ごとに指標を切り替え、半年から1年の単位で数字を見て直す
伸びないときの原因は、期間と記事数の不足、登録の不備、語句のずれ、内容のずれ、裏付けの不足、導線の欠如、表示の遅さ、量産や詰め込み、体制の属人化のどれかに当てはまります。Search ConsoleとGoogleアナリティクスの数字を見れば、どの段階で止まっているかを特定できます。
明日の朝は、Search Consoleを開いて記事ごとの表示回数とクリック数を確認し、閲覧数の多い記事に成果地点への案内があるかどうかを確かめるところから始めましょう。
ご依頼・ご相談を検討中の方は、こちらからお問い合わせください。
