
ファネルとは、人が「知る」から「買う」までに通る道筋のことです。作り方の話をする前に、ひとつ確かめておくことがあります。いま自社のどこで人が減っているのかを知らないまま作ると、既に足りている段を厚くして、詰まっている段を放置することになります。
ファネルは「作るもの」ではなく「既にあるもの」
新しく作ると考えると、ゼロから設計する話に聞こえます。実際は違います。商品を売っている限り、ファネルは既に存在しています。広告を見た人がいて、サイトに来た人がいて、問い合わせた人がいて、買った人がいる。その数が段ごとに減っている、その形がファネルです。
だから最初の仕事は設計ではなく測定です。いまの各段に何人いるかを出す。そこからしか、どこを直すかは決まりません。
段を分ける
細かく分けるほど正確になりますが、細かすぎると数字が取れません。多くの事業では次の5段で足ります。
- 知る — 広告の表示、検索結果への露出、SNSでの遭遇
- 来る — サイトやLPへの訪問
- 残る — メールアドレスやLINEの登録、資料請求
- 相談する — 問い合わせ、見積もり依頼、体験申込
- 買う — 契約、購入
商材によって3が無い場合もあります(その場で買う商品)。逆に4と5の間に「検討期間」が長く挟まる場合もあります。自社の実際の流れに合わせて、無い段は無いままにしてください。教科書どおりの段を作ると、そこに人がいない理由を延々と探すことになります。
どこが詰まっているかを見つける
各段の人数を出したら、段と段のあいだの通過率を計算します。1,000人が来て50人が登録したなら5%。この数字を並べると、どこで落ちているかが見えます。
ここで判断を間違えやすい点が2つあります。
数が少ない段が問題とは限らない
最後の「買う」が10人しかいないと、そこが問題に見えます。しかし前段からの通過率が高いなら、その段は健全です。直すべきは、通過率が極端に低い段です。人数の絶対値ではなく、落ち方を見ます。
上を増やせば下も増える、とは限らない
「まず集客を増やそう」は最もよく選ばれ、最もよく外れる判断です。下の段の通過率が低いままだと、増やした分がそのまま漏れます。広告費を倍にしても、購入が倍にならない。この構造は広告運用だけでは、事業が伸びない理由で詳しく書いています。
順番としては、下の段から直すほうが安く済みます。通過率の改善は、既に来ている人に効くからです。
各段で何をするか
知る → 来る
広告、検索、SNS、紹介。ここは「量」を作る工程です。ただし誰に届けるかを外すと、以降の全段の通過率が下がります。来た人が買わないとき、下の段の作りではなく、そもそも来ている人が違う可能性を先に疑ってください。
来る → 残る
訪問しただけの人は、次に来る保証がありません。連絡先を受け取るか、再訪の理由を作るか。ここを飛ばすと、集客のたびにゼロから始めることになります。
受け取る情報は最小限にします。入力欄が増えるほど登録率は落ちます。後から聞けることは後で聞くほうが、結果として多く集まります。
残る → 相談する
登録した人がすぐ買うことは稀です。ここを埋めるのがメールやLINEの配信で、「まだ買わない人」を「買う準備ができた人」に変える工程です。売り込みを繰り返すのではなく、判断に必要な材料を順に渡します。何をどの順で送るかはLP の改善と同じ考え方で、相手の疑問の順序に沿わせます。
相談する → 買う
ここで落ちる場合、原因は多くが3つです。価格が想定と合っていない、比較検討で負けている、決裁が通らない。いずれも「相談する」より前の段で期待を作りすぎていることが原因になりがちです。
作る順番
ゼロから立ち上げる場合の順番です。全段を同時に作らないでください。どこが詰まるか分からないまま作り込むと、使わないものを作ることになります。
- 「買う」の受け皿を先に作る — 申込・購入の導線。ここが無いと何も測れません
- 「来る」を1つだけ作る — 1つのLPと、1つの集客経路。複数同時に始めない
- 数字を見る — 通過率を出す。ここまでで最初の判断材料が揃います
- 詰まった段だけ手を入れる
- 数字が読める状態になってから、経路を増やす
3の時点で「そもそも誰も買わない」と分かることがあります。それは失敗ではなく、作り込む前に分かったという成果です。その確かめ方は作る前に売れるか確かめるにまとめています。
ツールをいつ入れるか
ファネルを1本にまとめて管理するツールがあります。ページ作成・メール配信・決済を1つに収めたものです。
ただし入れる前に、何をどの順に送るかが決まっている必要があります。ツールは決まっているものを実行する道具で、決めてくれる道具ではありません。順序が決まっていない状態で導入すると、機能を触るだけで終わります。選択肢はオールインワン型マーケティングツール比較に整理しました。
よくある質問
段は何個に分けるのが正解ですか。
数字が取れる範囲で、できるだけ少なくです。5段前後が目安ですが、自社に無い段は作らないでください。人がいない段の理由を探す時間が無駄になります。
どこから直せばいいですか。
通過率が極端に低い段からです。人数の少ない段ではありません。また、下の段のほうが安く直せます。既に来ている人に効くためです。
集客を増やすのは間違いですか。
間違いではありませんが、下の段の通過率が低いままだと増やした分が漏れます。先に漏れを止めるほうが、同じ費用で多く残ります。
ツールは最初から入れるべきですか。
何をどの順に送るかが決まってからで十分です。決まっていない段階で入れると、機能の設定作業で終わります。
作ってみて誰も買わなかったら失敗ですか。
作り込む前に分かったなら成果です。量産や本格的な投資の前に確かめるほうが、損失は小さく済みます。
相談する
どこが詰まっているかの特定から、直す順番の設計までを支援しています。事業グロース支援をご覧ください。ご依頼・ご相談・お見積もりは無料です。
