
「CPA は 1 万円で」という依頼を受けたとき、最初に確かめるのはその 1 万円がどこから出てきたかです。根拠が「前回もそうだったから」であれば、その目標は事業の利益と噛み合っていない可能性があります。
広告の目標は、事業の制約から決まる
広告で追う指標は、それ単体では決められません。1 件獲得するのにいくらまで払えるかは、粗利、リピート率、回収までに許容できる期間、そして在庫や人員の上限で決まります。順序としては、事業側の制約を先に置き、そこから広告側の目標へ落とすことになります。
逆に広告側の数字を先に置くと、達成しても利益が残らない、あるいは達成できるが受注をさばけない、という状態が起きます。どちらも「広告は成功しているのに事業は苦しい」という形で現れます。
逆算に必要な 4 つの数字
1. 粗利率
売上ではなく粗利で考えます。売上に対する CPA で見ていると、原価率の違う商品を同じ基準で評価してしまいます。
2. 継続率とリピート回数
初回購入だけで判断するか、2 回目以降まで含めて判断するかで、許容できる獲得単価は大きく変わります。CAC と LTV から許容 CPA を決めるで、この計算の手順を扱っています。
3. 回収期間
何か月で回収できれば良しとするか。ここは資金繰りの話なので、マーケティング側だけでは決められません。経営側と合意しておく必要があります。
4. 供給の上限
月に何件までさばけるか。上限を超えた獲得は、対応品質の低下という形で後から効いてきます。
逆算した結果を、広告の指標に翻訳する
ここまでで「1 件あたりいくらまで」が決まります。次はそれを、媒体側で操作できる指標に翻訳します。許容 CPA が決まれば、必要な CVR とクリック単価の組み合わせが絞られ、どの媒体・どのキーワードが射程に入るかが決まります。
この翻訳を飛ばして媒体の管理画面から入ると、「CPA は下がったが売上が伸びない」という噛み合わなさが起きます。CPA が上がり続けるときに先に確かめることでも触れていますが、指標の設計が曖昧なまま改善に入るのは遠回りです。
設計を一度で終わらせない
KPI は一度決めて終わりではありません。継続率が想定と違えば許容 CPA も変わります。実績が溜まるたびに前提を置き直すこと自体を、運用の一部として組み込んでおきます。
事業側の制約から広告の設計までを一緒に組み立てる進め方は、事業グロース支援にまとめています。
