
展示会で集めた名刺を営業部門へ渡したのに、商談になったのはごく一部で、翌月にはリストを開く人がいなくなりました。資料ダウンロードのフォームを設けても、届くのは競合他社や採用目的の登録ばかりです。BtoBのリード獲得でつまずく原因は、手法の選択そのものより、獲得したリードを誰がどの基準で営業へ渡すかが決まっていない点です。
この記事では、BtoBに特有の課題、オンラインとオフラインの獲得手法12種類、MQLとSQLによるリードの質の管理、施策の組み合わせ方を解説します。記事を読めば、自社の商材と体制に合う施策を選び、営業部門と同じ基準でリードを扱えるようになります。BtoBのリード獲得で商談につながるには、すぐ効く施策と資産になる施策を組み合わせ、営業部門と合意した基準でリードを引き渡す運用です。
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BtoBのリード獲得がBtoCと異なる3つの課題
リードとは、自社の商品やサービスに関心を持ち、将来の取引につながる可能性のある見込み顧客を指します。BtoBのリード獲得は、個人向けの商品を売る場合と同じ進め方では成果が出ません。買う側の事情が違い、同じ広告費をかけても申し込みが積み上がらないからです。BtoBのリード獲得で直面する課題は、以下のとおりです。
- 検討期間が長く、獲得から受注までの間隔が空く
- 意思決定に複数の担当者と決裁者が関わる
- 対象となる企業の数が限られ、量を追えない
1つ目の検討期間の長さは、施策の評価を難しくします。資料をダウンロードした担当者が社内で稟議を回し、予算の確保を待つ間に数か月が過ぎることは珍しくありません。獲得した月の商談数だけで施策の良し悪しを判断すると、時間差で成果が出る施策を早期に打ち切ることになります。
2つ目の意思決定者の多さは、届ける情報の種類を増やします。現場の担当者が知りたいのは機能や運用の手間ですが、決裁者が知りたいのは費用対効果と導入リスクです。1つの資料で両方を満たそうとすると、どちらにも刺さらない内容になります。
3つ目の母数の少なさは、獲得数の上限を決めます。対象が特定の業種や規模の企業に限られる商材では、母数を広げるより、限られた対象から確度の高いリードを取り出す方が効率的です。リードの数を目標に置くと、商談にならない登録が積み上がる結果になります。
【オンライン】BtoBのリード獲得手法7つ
オンラインの施策は、担当者が自分で情報を集める段階に合わせて接点を作れる点が強みです。費用と成果が出るまでの期間は施策ごとに大きく異なるため、性格の違いを把握してから選びます。オンラインのBtoBリード獲得手法は、次の7つです。
- オウンドメディアとSEOで課題を調べている層と接点を作る
- リスティング広告で検討段階の後半にいる層を集める
- ホワイトペーパーで社名と連絡先を受け取る
- ウェビナーで遠方の企業からも参加者を集める
- メールマーケティングで過去のリードを掘り起こす
- SNSと動画で認知のない層に情報を届ける
- 比較サイトとBtoBメディアへの掲載で検討中の企業に見つけてもらう
オウンドメディアとSEOで課題を調べている層と接点を作る
自社サイトに記事を公開して検索経由の流入を集める施策が、オウンドメディアとSEOです。オウンドメディアとは、自社が保有して情報を発信するWebサイトを指します。課題を言語化できていない段階の担当者が、解決策を探して検索する行動に合わせて接点を作れる点が特徴です。
成果が出るまでには時間がかかります。記事を公開してから検索結果で上位に表示されるまで数か月単位の期間を見込む必要があり、短期の目標には向きません。反面、一度上位に表示された記事は広告費をかけずに流入を生み続けるため、資産として残ります。
記事を読んだ担当者の連絡先を受け取るには、記事内に資料ダウンロードや問い合わせへの導線が必要です。記事の内容と資料のテーマがずれていると、読者は導線を無視します。
リスティング広告で検討段階の後半にいる層を集める
リスティング広告は、検索したキーワードに合わせて検索結果に広告を表示する仕組みです。「◯◯ 比較」「◯◯ 料金」のように、すでに解決策を探している段階のキーワードで露出できるため、短期間で問い合わせを増やせます。
費用は入札で決まる仕組みです。Google広告のヘルプによると、1日の平均予算はキャンペーンごとに配分する1日あたりの平均金額で、実際の1日の費用は予算の2倍まで達することがあります。月の請求額は1日の予算に30.4日を掛けた金額を超えない仕組みです。最低出稿金額の定めはないため、小さい予算から開始して効果を見ながら調整できます。
広告からフォームへ直接つなぐ方法もあります。Google広告のリードフォームアセットは、広告内のフォームで見込み顧客の情報を受け取る機能で、利用にはプライバシーポリシーの掲載が条件です。収集したリードはCSVで過去30日分をダウンロードでき、APIやWebhookで顧客管理システムへ連携する方法も用意されています。
ホワイトペーパーで社名と連絡先を受け取る
ホワイトペーパーは、課題の整理や導入の進め方をまとめた資料をダウンロード形式で提供し、その引き換えに社名と連絡先を受け取る施策です。問い合わせほど心理的な負担が大きくないため、検討の初期にいる担当者からも情報を受け取れます。
資料の内容は、検討段階に合わせて分けます。課題の整理や用語の解説は初期の担当者向け、導入手順や比較の観点は中盤の担当者向け、費用の内訳や社内説明用の資料は決裁を控えた担当者向けです。1種類の資料ですべての段階をまかなおうとすると、誰にも必要とされない資料になります。
入力フォームで受け取る項目は、営業が最初の連絡で使う情報に絞ります。会社名・氏名・メールアドレス・電話番号があれば初回の接触は成立し、従業員規模や導入時期は後の会話で確認できる内容です。
ウェビナーで遠方の企業からも参加者を集める
ウェビナーは、オンラインで配信するセミナーを指します。会場の確保と移動が不要なため、拠点から遠い企業の担当者も参加でき、一度の開催で接触できる人数を増やせます。参加登録の時点で社名と連絡先を受け取れる点も、リード獲得の手段として有効です。
参加者の関心の強さは、行動の記録から読み取れます。最後まで視聴した参加者、質疑で具体的な質問をした参加者、終了後のアンケートで導入時期を答えた参加者は、同じ登録者でも温度が違います。記録は、後の優先順位づけに使える材料です。
他社との共催も選択肢に入ります。自社だけでは接点のない企業へ案内が届き、集客の手間も分担可能です。共催では、獲得したリードの扱いを事前に取り決めておく必要があります。
メールマーケティングで過去のリードを掘り起こす
メールマーケティングは、過去に接点を持ったリードへ定期的に情報を届け、検討が再開したタイミングを捉える施策です。新規の獲得より費用がかからず、名刺やフォーム経由で蓄積した情報を活用できます。
メールの配信には法律上の制限がある点に注意が必要です。特定電子メール法では広告や宣伝を目的とするメールについてオプトイン方式が定められており、あらかじめ送信を求める旨または同意する旨を通知した相手にだけ送信できます。総務省は、送信者の氏名または名称と、配信停止を受け付けるメールアドレスを受信者の画面に正しく表示する義務も示しています。
配信する内容は、営業の案内に偏らせません。事例、他社の取り組み、法改正の情報のように、読んだ担当者の仕事に役立つ内容を中心に据えると、配信停止を減らせます。
SNSと動画で認知のない層に情報を届ける
SNSと動画は、自社を知らない層へ情報を届ける施策です。検索行動を起こしていない担当者にも表示されるため、オウンドメディアやリスティング広告では届かない範囲を補えます。
BtoBで効果を安定させる鍵は、投稿の主体を決めておくことです。会社の公式アカウントは製品情報や事例に向き、担当者個人のアカウントは現場の知見や業務の工夫に向きます。どちらも投稿から資料ダウンロードや問い合わせへの導線を用意しておかないと、接触が成果に変わりません。
広告として配信する方法もあります。業種・職種・役職といった条件で配信先を絞れる媒体を使うと、対象となる企業の担当者へ効率的に届きます。
比較サイトとBtoBメディアへの掲載で検討中の企業に見つけてもらう
比較サイトとBtoBメディアは、複数の製品やサービスを並べて紹介する外部の媒体です。掲載すると、すでに複数社を比較している担当者の候補に入れるため、検討段階の後半にいるリードを受け取れます。
料金体系は媒体ごとに別々です。月額の掲載料を払う形式、リード1件ごとに費用が発生する成果報酬の形式、その両方を組み合わせた形式があり、獲得できるリードの量と質に影響します。掲載前に、どの条件でリードとして計上されるかを確認しておくことが重要です。計上の定義があいまいなままだと、商談にならない資料請求にも費用が発生します。
自社の掲載内容で意識すべきは、他社と並べて読まれる前提です。機能の網羅性を競うより、どの規模のどの業種に向く商材かを明記した方が、合わない企業からの問い合わせを減らせます。
【オフライン】BtoBのリード獲得手法5つ
オフラインの施策は、担当者と直接会える点に価値があります。オンラインの施策より1件あたりの費用は高くなりがちですが、その場で相手の状況を聞き取れるため、リードの質を判断しやすい形式です。オフラインのBtoBリード獲得手法は、以下の5つです。
- 展示会への出展で短期間に多くの名刺を集める
- 自社セミナーで課題の共有から関係を作る
- テレマーケティングで対象企業へ直接電話をかける
- ダイレクトメールで決裁者の手元に資料を届ける
- 既存顧客とパートナーからの紹介で確度の高いリードを得る
展示会への出展で短期間に多くの名刺を集める
展示会は、特定の業界の企業が集まる会場にブースを構え、来場者と直接会う施策です。会期中に集中して名刺を集められるため、短期間でリードの母数を増やせます。出展料のほかに、ブースの装飾費・人件費・輸送費・配布物の制作費がかかる点を見込んでおく必要があります。
出展料は主催者が公開している情報です。メッセナゴヤ2026の公式サイトでは、基礎小間の出展料が1小間あたり242,000円(税込)、名古屋商工会議所の会員は154,000円(税込)と案内されています。あわせて、出展社1社ごとにオンラインアカウント料11,000円(税込)が必要との記載です。
成果が分かれるのは会期後の対応です。集めた名刺をそのまま営業リストとして渡すと、営業は話した内容がわからないまま電話をかけることになります。ブースでの会話の要点を名刺に紐づけて記録しておくと、後の連絡で相手の関心に合わせた話ができます。
自社セミナーで課題の共有から関係を作る
自社セミナーは、会場を用意して来場者に講演や実演を行う施策です。参加者と同じ空間で時間を共有するため、ウェビナーより関係を作りやすく、終了後の個別相談にもつなげやすい形式になります。
集客が課題になりやすい点に注意が必要です。会場まで足を運ぶ負担があるぶん、案内を出しても申し込みが埋まらないことがあります。既存のリードへのメール、取引先への声かけ、共催企業からの案内を組み合わせて集客経路を複数持たせると、開催の可否が集客状況に左右されにくくなります。
内容は製品の説明に寄せすぎない構成が適切です。参加者が持ち帰れる知識や判断基準を提供すると、その場で商談にならなくても次の接点が残ります。
テレマーケティングで対象企業へ直接電話をかける
テレマーケティングは、対象となる企業へ電話をかけて担当者につなぎ、情報提供や訪問の約束を取り付ける施策です。相手の反応をその場で確認できるため、対象リストの精度をすぐ検証できます。
成果を左右するのは、かける相手の順番です。まったく接点のない企業へかけるより、資料をダウンロードした企業やウェビナーに参加した企業へかける方が、担当者につながる確率と会話の質が上がります。過去のリードを掘り起こす用途に向いた施策です。
担当者の対応時間の確保が前提です。件数を目標に置くと、会話の内容が薄くなり、断られた記録だけが積み上がります。1件あたりの通話で何を聞き取るかを先に決めておくと、次の施策で使える情報が残ります。
ダイレクトメールで決裁者の手元に資料を届ける
ダイレクトメールは、印刷した資料や手紙を郵送で届ける施策です。メールと違って開封されやすく、役職者宛てに送ると本人の手元に届く可能性があります。オンラインの施策で接点を作りにくい業種や、担当者がメールをあまり使わない企業に有効な手段になります。
費用の中心は印刷費と郵送費で、成果を左右するのは送付先リストの精度です。宛名が退職した担当者のままであれば、その分の費用は無駄になります。名刺情報や過去の取引記録を整理してから送付するのが前提です。
反応を受け取る導線を印刷物に入れておきます。専用のURLや二次元コードを載せ、どの送付分から反応があったかを区別できる形にすると、次回の送付先を絞り込めます。
既存顧客とパートナーからの紹介で確度の高いリードを得る
紹介は、既存顧客や取引先から見込み顧客を引き合わせてもらう施策です。紹介者による事前の推薦があるため、初回から信頼された状態で話が始まります。
再現性を持たせるには仕組みが必要です。満足している顧客がいても、紹介を依頼する機会がなければ話は出ません。導入後の定期的な打ち合わせや、成果が出たタイミングで紹介を依頼する流れを決めておくと、偶然に頼らずに済みます。
紹介の依頼で必要なのは、対象を具体的に伝えることです。「どなたか紹介してください」では相手が思い浮かべられないため、業種・規模・抱えている課題を挙げて依頼する方が、該当する企業が出てきます。
MQLとSQLでBtoBのリードの質を管理する
リードを集めても、営業が優先順位をつけられなければ商談は増えません。BtoBでは検討期間が長く、獲得した時点では購入の意思が固まっていないリードが大半を占めるためです。リードの質を管理する手順は、次の5つです。
- MQLとSQLの違いを社内の言葉で定義する
- リードスコアリングで属性と行動を点数化する
- MQLの基準は営業部門と合意して決める
- 引き渡しの条件と初動の期限をSLAとして決める
- 商談にならなかったリードをナーチャリングへ戻す
MQLとSQLの違いを社内の言葉で定義する
MQLはMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング活動で獲得したリードのうち、購入の意欲が高いと判断されたものを指します。SQLはSales Qualified Leadの略で、営業が接触して確認した結果、商談化に向けて優先的に対応すべきと判断したリードのことです。セールスフォース・ジャパンの解説では、SQLを営業部門が商談化に向けてアプローチすべき見込み顧客と説明しています。
2つの違いは、判断する部門と検討の段階にあります。MQLはマーケティング側が行動の記録から判断し、SQLは営業側が会話を通して判断する区分です。同じリードでも、MQLの段階では課題を調べているだけの可能性があります。
定義は自社の商材に合わせて言い換えます。「料金ページを見た」「導入事例を2件以上読んだ」のように、自社のサイトで実際に起きる行動で書くと、担当者の解釈がぶれません。
リードスコアリングで属性と行動を点数化する
リードスコアリングは、リードの属性と行動に点数を割り当て、合計点で優先順位をつける方法です。担当者の勘に頼らずに対応の順番を決められるため、リードの数が増えたときに機能します。
点数の設計に使う軸は2つです。属性のスコアは、決裁権・業種・企業規模を見る軸です。セールスフォース・ジャパンの解説では、経営層に15点、担当者に5点を加算する例が挙げられています。行動のスコアは、関心の強さを見る軸です。同じ解説では、製品ページの閲覧に5点、ホワイトペーパーのダウンロードに15点、デモの申し込みに30点を加算する例が示されています。
最初の基準は仮置きで構いません。セールスフォース・ジャパンは、まず仮で設定し、過去の受注顧客のデータや実際の運用結果を見ながら調整する進め方を案内しています。運用を始めてから、受注した顧客が獲得時に何点だったかを確認すると、しきい値を現実に合わせられます。
MQLの基準は営業部門と合意して決める
MQLの基準をマーケティング部門だけで決めると、渡したリードが放置されます。営業から見て対応する価値がないリードが混ざると、リスト全体の信用が失われるからです。基準づくりには、実際に電話をかける営業担当者を必ず参加させます。
合意の材料になるのは過去の実績です。受注に至った顧客が獲得時にどの資料をダウンロードし、どのページを見ていたかを洗い出すと、意見ではなく記録で基準を決められます。案件化しなかったリードの共通点も、同じ方法で確認できます。
基準は固定しません。商材の追加や対象業種の変更があれば、受注につながるリードの姿も変わります。四半期ごとに実績と照らして見直す運用にしておくと、基準が実態から離れずに済みます。
引き渡しの条件と初動の期限をSLAとして決める
SLAは、部門間で守る約束事を明文化したものです。セールスフォース・ジャパンの解説では、いつ・どのような状態のリードを・どんな情報を添えて引き渡すかを取り決める重要性が示され、引き渡し後は24時間以内に営業が連絡する運用が挙げられています。連絡が遅れた分だけ、担当者の関心は他社へ移ります。
添える情報も取り決めの対象です。同じ解説では、行動の履歴・スコアの内訳・関与の傾向を営業へ共有する方法が案内されています。資料の名前と閲覧したページがわかれば、営業は最初の一言を相手の関心に合わせられます。
取り決めが守られているかどうかの判断材料は数字です。引き渡しから初回接触までの時間、引き渡したMQLのうち商談になった割合の2つを月次で見ると、基準と運用のどちらに問題があるかを切り分けられます。
商談にならなかったリードをナーチャリングへ戻す
リードナーチャリングとは、獲得したリードへ継続的に情報を届けて購買の意欲を高める活動のことです。MQLの基準に届かなかったリードや、営業が接触して時期尚早と判断したリードは、破棄せずに育成へ回します。BtoBでは予算の確保や体制の変更を待つ事情が多く、半年後に検討が再開することが珍しくないためです。セールスフォース・ジャパンの解説でも、SQLの基準を満たさない見込み顧客へメール・ウェビナー・事例を通じた育成を続け、放置を防ぐ運用が示されています。
必要なのは、戻す先と再評価の条件の取り決めです。営業が「時期が合わない」と判断したリードは、次の接触時期を記録してからマーケティング側の配信リストへ戻します。記録がないと、同じ相手に同じ案内を繰り返すことになります。
育成中のリードについても、行動の記録は残ったままです。配信したメールから料金ページを見た、新しい事例を読んだといった変化があれば、再びスコアが基準を超えます。獲得と育成の循環を回すと、新規の獲得数を増やさなくても商談の数を保てます。
BtoBのリード獲得施策の組み合わせ方
施策は単体ではなく組み合わせで評価します。すぐに問い合わせが増える施策と、時間をかけて流入が積み上がる施策では、成果が出る時期も費用の性質も別物です。BtoBのリード獲得施策を組み合わせる手順は、以下の4つです。
- 売上目標から必要なリード数を逆算する
- 即効性のある施策と資産型の施策を分けて配分する
- 検討段階ごとに施策と提供する情報を割り当てる
- 施策ごとにCPLと商談化率の両方で評価する
売上目標から必要なリード数を逆算する
必要なリードの数を決める起点は、売上目標です。目標金額を平均受注単価で割ると必要な受注件数が出て、受注率で割ると必要な商談数が出ます。商談化率は、獲得したリードのうち商談に至った割合を指します。必要な商談数を商談化率で割った数が、獲得すべきリードの数です。
計算に使う数値は自社の実績から取ります。業界の平均値を当てはめると、商材の単価や営業体制の違いが反映されません。過去1年分の受注件数・商談数・リード数がわかれば、各段階の転換率は算出できます。
次に確認すべきは、出てきた数字が現実的かどうかです。必要なリード数が現在の獲得数の数倍になる場合、獲得量を増やす前に商談化率と受注率の改善を検討する順番になります。
即効性のある施策と資産型の施策を分けて配分する
施策は成果が出る時期で2つに分かれます。リスティング広告・展示会・テレマーケティングは、費用をかけた期間に成果が出る即効性のある施策です。オウンドメディアとSEO・事例の蓄積・メールリストの拡充は、止めた後も流入や反応が残る資産型の施策になります。
予算を片方に寄せると弱点が出ます。即効性のある施策だけに配分すると、予算を止めた月のリードはゼロです。資産型の施策だけに配分すると、成果が出るまでの数か月を耐える必要があります。両方を同時に走らせるのが基本です。
配分の比率は事業の状況で決めます。今期の受注が足りない状況なら即効性のある施策を厚くし、来期以降の獲得単価を下げたいなら資産型の施策へ配分を移します。
検討段階ごとに施策と提供する情報を割り当てる
担当者の検討段階は、大きく3つに分かれます。課題を自覚していない段階、解決策を探している段階、複数社を比較している段階です。段階ごとに響く情報が違うため、施策と提供物を対応させます。
段階と施策の対応は、以下の表のとおりです。
| 検討段階 | 担当者の状態 | 向いている施策 | 提供する情報 |
|---|---|---|---|
| 課題を自覚していない | 業務の非効率を問題と認識していない | SNS・動画・展示会 | 他社の取り組み・業界の動向 |
| 解決策を探している | 課題を言語化し、方法を調べている | オウンドメディアとSEO・ウェビナー・ホワイトペーパー | 課題の整理・進め方の解説 |
| 複数社を比較している | 候補を絞り、社内で稟議を準備している | リスティング広告・比較サイト・自社セミナー | 導入事例・費用の内訳・比較の観点 |
同じ施策でも提供する情報を変えれば、届く段階が変わります。ウェビナーを課題の整理で構成すれば中盤の担当者に届き、導入事例の発表で構成すれば比較中の担当者に届きます。
施策ごとにCPLと商談化率の両方で評価する
CPLはCost Per Leadの略で、リード1件の獲得にかかった費用を指します。施策の費用を獲得件数で割って算出し、施策間の効率を比べる指標です。CPLだけで判断すると、安く大量に集まる施策が高く評価されます。
評価に必要なのは、商談化率と並べて見る視点です。獲得したリードのうち商談になった割合を施策別に出すと、CPLが低くても商談にならない施策が見分けられます。CPLが高くても商談化率が高い施策は、1商談あたりの費用では有利な場合があります。
評価の間隔は施策の性質しだいです。リスティング広告は月次で判断できますが、オウンドメディアとSEOを1か月で評価すると、成果が出る前に打ち切ることになります。資産型の施策は、四半期以上の期間で流入と獲得件数の推移を見ます。
BtoBのリード獲得でよくある失敗
成果が出ない現場には、共通した状態があります。原因を先に知っておくと、施策を始める前に設計を直せます。BtoBのリード獲得でよくある失敗は、次の4つです。
- 獲得数だけを目標に置く
- 問い合わせへの初動が遅れる
- 入力フォームの項目が多すぎる
- 同意のないメール配信で信頼を失う
獲得数だけを目標に置く
リード獲得数だけを目標にすると、商談にならないリードが増えます。数を追う過程で、対象外の業種や規模の企業、競合他社、学生からの登録も同じ1件として数えられるためです。数字は達成されているのに商談が増えない状態が生まれます。
目標に組み合わせるべきは質の指標です。獲得件数に加えて、MQLの件数と商談化率を並べて追うと、量だけが伸びている状態に気づけます。営業部門が使う商談数の目標と接続しておくことも必要です。
対象外のリードを機械的に除く仕組みも用意します。フォームで業種と従業員規模を受け取り、対象外の条件に当てはまる登録を営業へ渡さない運用にすると、リストの信頼が保たれます。
問い合わせへの初動が遅れる
問い合わせを受けてから連絡までの時間が長いほど、商談になる確率は下がります。担当者は複数社へ同時に問い合わせていることが多く、最初に返答した会社が話を進めるためです。セールスフォース・ジャパンの解説でも、引き渡し後24時間以内の連絡が運用の目安として挙げられています。
遅れの原因は体制にあります。問い合わせの通知が特定の1人にしか届かない、担当者が外出中で気づかない、誰が対応するか決まっていないといった状態です。通知先を複数にし、一次対応の担当を曜日で決めておくと、抜けが減ります。
夜間や休日の問い合わせにも対応方針が必要です。翌営業日の朝に連絡する運用でも、自動返信で受付を知らせておけば、相手は待つ判断ができます。
入力フォームの項目が多すぎる
入力項目が多いフォームは、途中で離脱されます。資料をダウンロードするだけの相手に、従業員規模・導入時期・予算・課題の詳細まで求めると、入力の負担が資料の価値を上回るためです。
項目は営業の初回接触に必要な範囲へ絞ります。会社名・氏名・メールアドレス・電話番号があれば連絡は取れます。残りの情報を補う場は、電話や商談の会話、その後のアンケートです。
項目を減らすと質が下がる心配は、別の方法で補えます。ダウンロード後の行動の記録をスコアに反映させれば、入力情報が少なくても関心の強さは判断できます。
同意のないメール配信で信頼を失う
獲得したリードへ無断で広告メールを送る運用は、原則として法律に反します。特定電子メール法は広告や宣伝を目的とするメールにオプトイン方式を定めており、あらかじめ送信を求める旨または同意する旨を通知した相手にだけ送信できる仕組みです。
名刺交換で受け取ったアドレスは、法律上は事前の同意がなくても送信できる例外に当たりますが、送信者の表示と配信停止への対応は必要です。相手の受け取り方を考えると、同意を取ってから配信する運用のほうが信頼を損ねにくくなります。
個人情報の扱いにも守るべき決まりがあるため、確認が必要です。個人情報保護法は利用目的をできる限り特定するよう定め、書面や電子的な記録で本人から直接取得する場合は、取得前に利用目的を明示する義務を課しています。フォームの近くに利用目的とプライバシーポリシーへのリンクを置く対応が必要です。
注意が必要なのは、取得した情報を他社へ渡す場面です。個人情報保護法では、第三者へ個人データを提供する際に原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があります。共催ウェビナーで参加者情報を共有する場合は、申し込み画面で共有先と目的を明示しておきます。
BtoBのリード獲得を外部に依頼するときの選び方と費用
社内の人員だけでは、施策の設計と運用を同時に回せないことがあります。外部への依頼は選択肢ですが、任せる範囲を決めずに発注すると成果の責任があいまいになります。外部への依頼で確認する点は、以下の3つです。
- 外部に依頼できるBtoBリード獲得の業務範囲
- 依頼先を見極めるときに確認すること
- BtoBのリード獲得にかかる費用の実例
外部に依頼できるBtoBリード獲得の業務範囲
依頼できる業務は、施策の実行と設計の2種類に分かれます。実行にあたるのは、広告の運用・記事の制作・ウェビナーの運営・テレマーケティングの代行です。設計にあたるのは、獲得目標の設計・施策の選定・MQLの基準づくり・効果測定の設計になります。
自社に残す業務も先に決めます。商材の知識と顧客の事情は社内にしか蓄積されないため、提供する情報の中身と、営業への引き渡し基準の決定は社内に残すのが基本です。すべてを任せると、契約が終わった時点で運用のノウハウが残りません。
依頼の範囲は契約書で工程ごとに書き出します。「リード獲得の支援」といった表現のままだと、フォームの改修や記事の公開作業が範囲に入っているかどうかで認識が食い違います。
依頼先を見極めるときに確認すること
依頼先を比べるときは、実績の中身を確認します。同じ業種での支援経験があるか、どの施策を担当したか、どの指標をどこまで改善したかを具体的に聞くと、提案の再現性を判断できます。社名を伏せた事例であっても、商材の性質と規模は確認が可能です。
成果の定義を必ずそろえます。リード獲得の代行では、何をもって1件のリードとするかで費用が大きく変わります。名刺の取得を1件と数える契約と、商談の設定を1件と数える契約では、同じ金額でも意味が別物です。
リードの数を保証する提案には慎重になります。質の条件を伴わない件数の保証は、対象外の登録で件数を満たす運用につながります。件数と合わせて、商談化率をどう追うかまで説明できる依頼先を選ぶのが適切です。
相見積もりは3〜5社程度に絞るのが目安です。比較の材料を得るには複数社が必要ですが、社数を増やしすぎると評価の手間が提案の質の差を上回ります。
BtoBのリード獲得にかかる費用の実例
費用は施策と契約形態で幅があります。提供元が公式サイトで公開している金額を挙げます。実際の見積もりは、対象の規模や支援範囲によって変わる前提で読んでください。
公開されている料金の実例は、以下の表のとおりです。
| 提供元 | 対象 | 公式サイトの記載(2026年9月時点) |
|---|---|---|
| SATORI | マーケティングオートメーションツール | 初期費用300,000円(税別)、月額148,000円(年間契約・税別)と案内されています |
| HubSpot | Marketing Hub Professional | 月額96,000円から、別途オンボーディング費用360,000円と案内されています |
| メッセナゴヤ2026 | 展示会の出展料 | 基礎小間1小間あたり242,000円(税込)、名古屋商工会議所会員は154,000円(税込)と案内されています |
ツールの費用は、リードの管理と育成にかかる部分です。獲得そのものにかかる広告費や出展費とは別に見積もる必要があります。Google広告のように最低出稿金額の定めがない仕組みであれば、小さい予算から始めて成果を確認しながら増やせます。
社内の人件費も費用の一部です。ウェビナーの企画や記事の制作にかかる時間は請求書に出ませんが、実際には最も大きな費用になることがあります。外部に依頼するかどうかは、社内の時間を何に使うかの判断でもあります。
BtoBのリード獲得は手法の組み合わせと質の管理から始めましょう
BtoBのリード獲得で商談を増やすには、獲得の手法を増やすだけでは足りません。検討期間の長さ・意思決定者の多さ・母数の少なさの3つに合わせて、施策とリードの扱い方を組み立てる作業が必要です。
BtoBのリード獲得で押さえる点は、次の4つです。
- 手法はオンライン7つとオフライン5つから、自社の商材と対象企業に合うものを選ぶ
- MQLとSQLの定義を営業部門と合意し、引き渡しの条件と初動の期限を決める
- 即効性のある施策と資産型の施策を同時に走らせ、検討段階ごとに提供する情報を変える
- 評価はCPLだけでなく商談化率と並べて行い、商談にならなかったリードは育成へ戻す
最初に着手するなら、過去1年の受注顧客が獲得時に取った行動を洗い出すところからです。受注顧客の記録があれば、MQLの基準も力を入れる施策も、社内の意見ではなく実績から決められます。営業部門の担当者と同じ資料を見ながら、基準の1行目を決めましょう。
ご依頼・ご相談を検討中の方は、こちらからお問い合わせください。
