
成果報酬型なら無駄な広告費がかからないと聞いてASPの資料を取り寄せたところ、成果地点と成果報酬額を自社で記入する欄が並んでいました。記入例には商品購入と会員登録が挙がっているだけで、どちらを選ぶべきか、1件いくらに設定すべきかまでは書かれていません。アフィリエイトマーケティングは出稿してから調整する広告ではなく、出稿前に条件を決めきる広告です。
この記事では、アフィリエイトマーケティングの仕組み、成果地点の決め方、成果報酬と費用の設計、メディアの選び方、広告主が負う表示の責任、効果測定の手順を解説します。記事を読めば、ASPの申込書にある空欄を自社の数字で埋めることが可能です。アフィリエイトマーケティングの成果は、許容できる獲得単価から逆算した報酬額と、自社で確認しきれる成果地点を先に決められるかで分かれます。
ご依頼・ご相談を検討中の方は、こちらからお問い合わせください。
アフィリエイトマーケティングとは成果に応じて報酬を払う集客手法
アフィリエイトマーケティングとは、自社の商品を紹介してもらうメディアに、紹介が成果につながったときだけ報酬を支払う集客手法です。消費者庁は、広告主がウェブサイトやブログ等の作成者に広告を作成してもらい、その広告を通じて商品・サービスが購入される成果に応じて成功報酬を支払うものをアフィリエイト広告と説明しています。広告枠を買う広告とは違い、支払いの起点が掲載ではなく成果に置かれている点が特徴です。
登場するのは4者です。商品を売る広告主、広告を作って掲載するアフィリエイター、両者を仲介するASP、そして商品を買う消費者が関わります。ASPとはアフィリエイト・サービス・プロバイダの略で、広告主とメディアの仲介や成果の計測、報酬の支払いを担う事業者を指します。
消費者庁が示すアフィリエイト広告の流れは、次の6つの段階です。
- 広告主がアフィリエイターへ広告作成を依頼する(提携)
- アフィリエイターが広告を作成する
- 消費者が広告を閲覧する
- 消費者がリンクを通じて購入する
- 広告主が消費者へ商品を販売する
- 広告主がアフィリエイターへ成果報酬を支払う
広告主が自分でコントロールできるのは、1の提携条件と6の報酬額、そして4で何を成果と数えるかの定義だけです。2の広告の中身はアフィリエイターが作り、3の閲覧はメディアの読者数に左右されます。設計の話が出稿前に集中するのは、開始後に触れる部分が限られるためです。
アフィリエイトマーケティングと他のネット広告の違い
リスティング広告やディスプレイ広告と同じ感覚で予算を組むと、アフィリエイトマーケティングでは見積もりが合わなくなります。課金の起点も、広告の作り手も、成果が立ち上がる速さも別物だからです。アフィリエイトマーケティングと他のネット広告の違いは、以下の3点です。
- 費用が発生するのは成果が出たときだけ
- 広告の内容を作るのはメディア側
- 掲載枠ではなくメディアとの提携を選ぶ
費用が発生するのは成果が出たときだけ
アフィリエイトマーケティングでは、広告が表示された回数やクリックされた回数に対する費用が発生しません。A8.netは広告主向けの案内で、購入や申込みといった成果に応じて費用が発生し、広告の表示やクリックでは費用が発生しないと説明しています。バリューコマースの案内でも、1件の成果に対して広告主が設定した以上の費用は発生しない仕組みです。
この課金方式は、獲得単価の上限を広告主が先に固定できることを意味します。1件あたりの報酬を3,000円と決めれば、成果1件あたりの変動費は3,000円とASPの手数料を超えません。入札で単価が動くリスティング広告との大きな違いがここにあります。
ただし変動費がゼロの月でも、固定費の支払いは必要です。ASPの月額費用は成果の件数と関係なく発生するため、成果が1件も出ない月でも支払いが生じる点は先に見込んでおく必要があります。
広告の内容を作るのはメディア側
バナーやテキストを自社で作って配信する広告と違い、アフィリエイトマーケティングでは掲載される記事やレビューをアフィリエイターが作ります。消費者庁の資料でも、消費者であるアフィリエイターが広告を作ることもあるため、その広告内容は消費者にとって身近で参考になると言われている、という整理です。
一方で、書き手が自社の社員ではない点はリスクです。消費者庁は、アフィリエイト広告は成功報酬であり、アフィリエイター自身がより多くの報酬を得るため過激な宣伝を行う場合もあると指摘しています。表現の管理は広告主の仕事として残ります。
広告主がメディアへ渡せるのは、商品資料と表現のルールです。何を書いてよくて何を書いてはいけないのかを提携時に文書で渡しておくと、公開後に削除を依頼する回数が減ります。
掲載枠ではなくメディアとの提携を選ぶ
運用型広告ではキーワードや配信面を選びますが、アフィリエイトマーケティングで選ぶのは掲載してもらうメディアです。バリューコマースは、ASPがポイントサイト、比較サイト、口コミブログ、SNSなど多様なメディアを一元で取りまとめる役割を担うと説明しています。
メディアの種類によって、連れてくる読者の温度感が変わります。比較サイトの読者は購入先を絞り込む段階にあり、ブログ記事の読者は課題を調べている段階にあるのが一般的です。同じ報酬額でも、成果の件数と成約後の質は掲載先で差が出ます。
提携の申請はメディア側から届きます。広告主はその申請を承認するか却下するかを判断するため、どんなメディアなら自社の商品を任せられるかの基準を先に言語化しておく作業が必要です。
アフィリエイトマーケティングで最初に決める成果地点
成果地点とは、何が起きたときに報酬を支払うかを定めた地点のことです。ここを曖昧にしたまま出稿すると、報酬額の妥当性も効果測定の基準も決められません。アフィリエイトマーケティングで最初に決める成果地点の論点は、次の4つです。
- 自社の商品で成果地点になりうる行動を洗い出す
- 購入を成果にするか会員登録を成果にするかを決める
- 成果の計測方法と計測できる期間を確認する
- 承認と却下の基準を提携前に文章にする
自社の商品で成果地点になりうる行動を洗い出す
成果地点の候補は、商品の売り方によって変わります。afbでは、ファッション通販サイトの場合はユーザーの商品購入、転職サイトの場合はユーザーの会員登録が成果地点の例として挙げられています。バリューコマースも、広告主が商品購入や会員登録などの成果地点を決めてASPに広告を出稿すると案内しています。
自社サイト上で消費者が取る行動を、申込みに近い順に並べてみます。BtoBのサービスであれば、資料請求、問い合わせ、無料トライアルの登録、商談の実施が候補です。ECであれば、初回購入、定期コースの申込み、会員登録が候補になります。
洗い出した行動のうち、システムで発生を自動的に検知できるものだけが成果地点になります。電話での問い合わせや店舗への来店は、ウェブ上の完了ページが存在しないため、そのままでは成果として計測できません。
購入を成果にするか会員登録を成果にするかを決める
成果地点を売上から遠ざけるほど、成果の件数は増えて1件の価値は下がります。会員登録を成果地点にすると発生件数は伸びますが、そのうち何割が購入へ進むかは自社の引き上げ施策しだいです。購入を成果地点にすれば1件の価値は確定する代わりに、メディアから見た成果のハードルが上がって掲載が集まりにくくなります。
判断の材料は、登録から購入までの自社の転換率です。会員登録の20%が初回購入に進む商品であれば、登録1件の価値は購入1件の価値の5分の1という計算になります。この数字を持っていない場合は、購入を成果地点にして始める方が、費用と売上の関係が崩れません。
無料トライアルや資料請求を成果地点にする場合は、成果の質を確認する仕組みを同時に用意します。登録情報の実在確認や、商談化率の集計を月次で回せないうちに遠い成果地点を選ぶと、支払いだけが積み上がる状態になりかねません。
成果の計測方法と計測できる期間を確認する
成果は、メディアのリンクを経由した消費者が完了ページまで到達したかどうかで判定されます。afbによると、ASPを経由することで、どのアフィリエイトサイトからどの広告の成果が発生したかを正しく計測することが可能です。広告主側では、購入完了ページなどに計測用のタグを設置する作業が発生します。
計測の前提は、時間とともに崩れやすい点に注意が必要です。afbは、ITP等の規制により計測が難しくなりつつあると説明しています。ITPとは、ブラウザが広告目的の追跡を制限する仕組みのことで、経由の記録が残る期間が短くなる方向に働きます。
検討すべき条件は3つです。リンクをクリックしてから何日以内の成果を対象とするか、複数のメディアを経由した場合にどのメディアの成果とするか、アプリ経由の購入を計測できるかを、ASPの担当者に契約前に確認しておきます。検討期間が長い商材ほど、計測できる期間の長さが成果件数に直結します。
承認と却下の基準を提携前に文章にする
発生した成果がすべて報酬の対象になるわけではありません。afbは、発生した成果を承認成果、却下成果、未承認成果の3つに分けて説明しています。承認成果は報酬の支払い対象、却下成果は報酬が支払われない条件に該当したもの、未承認成果はまだ判別できていないものです。
却下の条件は、広告主が決めて事前に開示します。キャンセルされた注文、決済が完了しなかった注文、社内からの申込み、同一人物の重複申込みが代表的な対象です。基準を公開しないまま却下を繰り返すと、メディア側から見て成果が読めない広告主となり、掲載が離れる原因になります。
承認までの日数の設定も必要です。返品期間が30日ある商品で承認を10日後に行うと、返品分まで報酬を支払うことになります。自社の返品・解約の期限と承認のタイミングを合わせるのが基本の考え方です。
アフィリエイトマーケティングの成果報酬の決め方
成果報酬は、メディアが掲載するかどうかを判断する最大の材料であり、広告主にとっては獲得単価そのものです。高く設定すれば掲載は増えますが、利益は削れます。アフィリエイトマーケティングの成果報酬の決め方は、以下の4つの手順で進めます。
- 定額報酬と定率報酬のどちらにするかを選ぶ
- 許容できる獲得単価から報酬額を逆算する
- ASPの手数料を含めた1件あたりの支払額を確認する
- 成果地点ごとに報酬を分けて設定する
定額報酬と定率報酬のどちらにするかを選ぶ
報酬額の決め方には2種類あります。バリューコマースが案内しているのは、定率報酬と定額報酬の2種類です。afbも、成果ごとに一定の金額を支払う固定型と、購入金額の一定の割合を支払う変動型があると説明しています。
定額報酬が向くのは、単価がそろった商品や、会員登録のように金額の概念がない成果地点です。1件800円のように決め打ちできるため、メディア側も収益を見通しやすくなります。
定率報酬は、購入金額に幅があるECに向く方式です。まとめ買いをした消費者を連れてきたメディアに多く報酬が渡るため、単価の高い商品を紹介する動機が働きます。ただし原価率が商品ごとに違う場合は、率を一律にすると赤字の組み合わせが生まれる点に注意が必要です。
許容できる獲得単価から報酬額を逆算する
報酬額は、競合が出している金額ではなく自社の採算から決めます。逆算の順番は、商品の粗利、そのうち広告費に回せる割合、1件あたりの許容獲得単価、ASP手数料を差し引いた報酬額です。
粗利6,000円の商品で、粗利の40%まで広告費に充てられるとします。許容獲得単価は2,400円となり、ここからASPの手数料分を引いた金額が成果報酬の上限です。手数料が報酬額の30%であれば、報酬1,800円で支払総額は2,340円となり、上限の内側に収まります。
リピートを前提とする商品で使うのは、初回の粗利ではなく想定される購入回数を含めた粗利です。定期コースの継続率を持っている場合に限り、初回の粗利を超える報酬を出す判断が成り立ちます。継続率の実績がないうちは、初回の粗利の範囲で設定する方が安全です。
ASPの手数料を含めた1件あたりの支払額を確認する
広告主が支払うのは、メディアへの報酬だけではありません。A8.netは、メディアへの支払額に対して30%のコミッションが加算されると案内しており、メディア報酬が1,000円(税抜)の場合、コミッションは300円(税抜)です。バリューコマースの公式サイトで案内されている利用料は、成果報酬の31.5%です。
つまり報酬額を決めた時点で、実際の支払額は3割前後増えます。許容獲得単価を報酬額と同じ数字で設定すると、手数料の分だけ採算が崩れます。
管理画面で見る成果報酬額と、請求書に載る金額は一致しません。月次の予算管理では、報酬額に手数料と月額固定費を足した金額を広告費として扱います。
成果地点ごとに報酬を分けて設定する
成果地点を複数持つ場合は、地点ごとに報酬額を変えます。資料請求500円、無料トライアル3,000円、有料契約20,000円のように、売上への近さに応じて差を付ける形です。単一の報酬にまとめると、メディアは達成しやすい地点だけを狙い、遠い地点の成果が集まりません。
商品カテゴリごとに分ける方法もあります。利益率の高い商品の報酬を厚くすると、紹介記事でその商品が選ばれやすくなります。在庫や供給の都合で売りたくない商品は、報酬を下げるのではなく提携の対象から外す方が管理が簡単です。
報酬の変更は、メディアの掲載順位に影響します。引き下げる場合は事前告知の期間を置き、理由を添えてASP経由で伝えるのが実務上の進め方です。
アフィリエイトマーケティングにかかる費用
成果報酬型という言葉から、費用は成果の分だけと理解されがちですが、実際には固定費が先に発生します。導入を稟議にかけるときは、固定費と変動費を分けて出す必要があります。アフィリエイトマーケティングにかかる費用は、次の3つです。
- 初期費用と月額固定費
- 成果報酬とASPの手数料
- 運用にかかる社内の工数
初期費用と月額固定費
ASPを利用するには、契約時の初期費用と毎月の固定費がかかります。リンクシェア・ジャパンは、初期費用が広告管理画面の開設やトラッキングシステムの導入サポートに、月額固定費がサーバー利用料や管理画面のシステム維持にあたる費用だと説明しています。
主要ASPが公式サイトで案内している金額は、以下の表のとおりです。
| ASP | 初期費用 | 月額費用 | 最低利用期間 |
|---|---|---|---|
| A8.net | 50,000円(税抜) | トライアル50,000円/スタンダード45,000円/ロイヤル40,000円(いずれも税抜・月額) | トライアル6ヶ月/スタンダード12ヶ月/ロイヤル18ヶ月 |
| バリューコマース | 50,000円(税抜) | 基本プラン費50,000円(税抜) | 契約開始月を除く6ヵ月間 |
A8.netの公式サイトでは、初期費用50,000円(税抜)はアカウント開設費として初回のみ支払う費用と案内されています。バリューコマースの公式サイトでは、初期設定費用50,000円(税抜)が広告プログラム開始までの導入設定の諸費用として初回のみ、基本プラン費50,000円(税抜)が契約開始月の翌月から発生すると案内されています。
契約期間が長いプランほど月額が下がる設計は、途中解約の自由度と引き換えです。成果が読めない初年度は、期間の短いプランを選んで様子を見る判断もあります。
成果報酬とASPの手数料
変動費は、メディアへの成果報酬とASPの手数料で構成されます。A8.netの公式サイトで案内されているコミッションは、メディアへの支払額に対して30%です。バリューコマースの公式サイトでは、アフィリエイトサービスの利用料として成果報酬の31.5%が案内されています。
成果が増えれば変動費も比例して増えます。成果報酬型では上限が自動で効くわけではないため、月の予算を超えそうな場合は報酬額の調整や掲載の停止が必要です。
固定費と変動費を合わせた月額の見積もりは、次の式で出せます。月額固定費に、想定成果件数と1件あたりの報酬額、手数料率を掛けた金額を足した額が、その月の広告費です。成果がゼロでも固定費は残る点を、稟議書には明記しておきます。
運用にかかる社内の工数
費用は現金の支出だけではありません。提携申請の承認、成果の承認と却下、掲載内容の確認、メディアへの情報提供は、社内の担当者が毎月行う作業です。
作業量は提携メディア数に比例して増えます。A8.netは広告主向けページで、プログラム開始から半年後の提携メディア数の中央値を654、1年後を931と公開しています。数百件規模の提携先に対して、掲載内容を全数確認する体制を初めから持てる企業は多くありません。
工数を見積もるときは、確認の頻度と範囲を先に決めます。成果の多い上位メディアは毎月確認し、それ以外は四半期ごとに抜き取りで確認するといった運用の線引きが現実的です。
掲載してもらうメディアの選び方と提携の進め方
アフィリエイトマーケティングの成果は、どのメディアに載るかでほぼ決まります。報酬額と同じだけ、提携先の選び方に手をかける価値があります。掲載してもらうメディアの選び方と提携の進め方は、以下の4つです。
- 自社の商品と読者層が重なるメディアを探す
- 提携申請を承認する基準を決める
- 商品資料と表現のルールをセットで渡す
- 成果の偏りを見て提携先を入れ替える
自社の商品と読者層が重なるメディアを探す
探す起点は、自社の商品名や課題名で検索したときに上位に出るページです。比較記事、体験レビュー、課題解決型の記事のうち、自社の商品が扱われうる文脈を持つページを一覧にします。ASPの管理画面にあるのは、ジャンルや掲載実績からメディアを検索できる機能です。
読者層の重なりは、記事の中身で判断します。想定顧客が法人の担当者なら、個人の節約情報を扱うメディアに載っても商談にはつながりません。掲載数よりも、1件の成果が商談化するかどうかで提携先を評価します。
ポイントサイトのように、還元を目的とする読者が多いメディアを使うかどうかは方針として決めておきます。件数は伸びる一方、継続率が下がる場合があるため、成果地点を購入後の継続に置くなどの調整が必要です。
提携申請を承認する基準を決める
提携はメディアからの申請で始まるため、承認の基準がないと判断がぶれます。サイトの主題が自社の商品と関係するか、記事が独自の情報を持っているか、法令に触れる表現がないかの3点が、申請ごとの確認項目です。
Googleはウェブ検索スパムポリシーで、商品の説明やレビューを元の販売者からそのままコピーし、独自のコンテンツや付加価値を加えない状態でアフィリエイトリンクを含むコンテンツを掲載する行為を、薄いアフィリエイトページとして問題視しています。価格に関する追加情報、独自の商品レビュー、商品やカテゴリの比較に関する追加情報などの付加価値が、良質なアフィリエイトサイトの条件です。
コピー中心のサイトとの提携は、成果が出にくいだけでなく、自社の商品説明が誤った形で拡散する原因にもなります。判断に迷う申請は、保留にして掲載予定の記事構成を確認する方法が有効です。
商品資料と表現のルールをセットで渡す
提携を承認したら、書き手が必要とする材料をまとめて渡します。商品の仕様、価格、対象者、他社と違う点、使用上の注意を1つの資料にしておくと、各メディアが同じ事実に基づいて記事を書けます。
同時に渡すのが、表現のルールです。使ってはいけない効果の言い回し、比較の際の条件、必ず併記してほしい注意事項を具体的に列挙します。禁止事項だけを並べるより、書いてよい表現の例を添える方が、書き手は迷いません。
ルールは更新のたびに再配布します。価格改定やキャンペーン終了の連絡が遅れると、古い条件のままの記事が残り、消費者との認識のずれが生まれます。
成果の偏りを見て提携先を入れ替える
運用が進むと、成果は一部のメディアに集中します。上位数件で成果の大半を占める状態は珍しくありません。上位メディアには個別に連絡を取り、掲載順位や紹介の文脈について要望を伝えられる関係を作ります。
成果がゼロのまま数か月が過ぎた提携先は、掲載自体が止まっている可能性が高いです。掲載の有無を確認し、掲載されていれば導線の改善を提案し、止まっていれば提携を整理します。
入れ替えの判断は、件数だけで行いません。件数は少なくても商談化率が高いメディアは、報酬を厚くしてでも維持する価値があります。
アフィリエイトマーケティングで広告主が負う表示の責任
アフィリエイトマーケティングで最も見落とされやすいのが、他人が書いた広告の責任を広告主が負う点です。消費者庁は、アフィリエイト広告は表示内容の決定に関与した広告主が責任を負うべき主体だと整理しています。広告主が押さえる法規制と管理の要点は、次の5つです。
- 不当表示の責任は広告主にある
- 広告である旨を表示する(ステルスマーケティング規制)
- 健康や美容の商品は薬機法の対象になる
- 通信販売の広告表示義務と誇大広告の禁止を守る
- 不当表示が見つかったときの手順を決めておく
不当表示の責任は広告主にある
消費者庁は、アフィリエイト広告が景品表示法違反となった事例として、令和3年に公表した2件の措置命令を挙げています。いずれも、商品を使用するだけで短期間に効果が得られるかのように示す表示が、優良誤認表示として行政処分の対象になりました。優良誤認表示とは、品質や規格その他の内容について著しく優良であると誤認される表示のことです。
処分を受けたのは記事を書いたアフィリエイターではなく、広告主にあたる事業者です。消費者庁の資料では、これらのアフィリエイト広告も広告主がアフィリエイターに指示をしていたと説明されています。
消費者庁が示した不当表示の未然防止策は3つです。アフィリエイト広告の表示の管理として、表示内容の確認、事後的な表示確認に必要となる措置の実施、管理担当者の設置と研修の実施が挙げられています。不当表示等が明らかになった場合の対応として、相談窓口の設置、問題表示の是正及び削除、契約解除が挙げられ、3つ目にアフィリエイト広告における「広告」である旨の表示が挙げられています。
広告である旨を表示する(ステルスマーケティング規制)
消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反になると案内しています。広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示が対象で、規制されるのは広告であって一般消費者が広告であることを分からないものに限られます。
規制の対象になるのは、商品・サービスを提供する事業者だけです。消費者庁は、企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはならないと明記しています。書き手が表示を怠った場合でも、責任の所在は広告主です。
実務としては、提携時のルールに広告である旨の表示を必ず含めます。表示の位置と文言をメディア任せにせず、記事の冒頭など消費者が見つけられる場所に置くところまで指定するのが確実です。
健康や美容の商品は薬機法の対象になる
化粧品、健康食品、医薬部外品を扱う場合は、記事の表現が薬機法の規制に触れます。厚生労働省が示している薬機法第66条第1項の条文は、何人も医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない、という内容です。
条文の主語が「何人も」である以上、規制の対象は広告主にも書き手にも及ぶ点が重要です。承認を受けていない医薬品等の広告は薬機法第68条で禁止されており、違反には2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、又はその併科が定められています。
対応は、表現のルールに書ける範囲を具体的に落とし込むことです。効能効果として認められた範囲の言い回しを一覧にして渡し、体験談の書き方や写真の使い方についても条件を示します。判断に迷う表現が出たら、公開前に確認する窓口を社内に置きます。
通信販売の広告表示義務と誇大広告の禁止を守る
自社サイトで直接販売している場合は、特定商取引法の通信販売のルールも関係します。消費者庁は、通信販売の広告に表示すべき事項として、販売価格(送料を含む)、代金の支払時期・方法、商品の引渡時期、申込期間に関する定め、契約の撤回・解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などを挙げています。
同法第12条が誇大広告等として禁止しているのは、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良であり若しくは有利であると人を誤認させるような表示です。アフィリエイターの記事に価格や解約条件が書かれる場合、その内容が自社サイトの表示と食い違わないよう確認が要ります。
消費者庁の資料で示されているのは、悪質な事業者への対応として業務禁止命令も視野に入れた特定商取引法の適用を行う方針です。表現の管理を怠ったまま成果だけを追う運用は、事業の継続そのものに関わります。
不当表示が見つかったときの手順を決めておく
問題のある記事は、見つけてからの速さで被害の大きさが変わります。発見の経路を、社内の定期確認、消費者からの問い合わせ、ASPからの連絡の3つに分けて整理し、それぞれの受け口を決めておきます。
対応の順番は、事実確認、メディアへの修正依頼、修正されない場合の掲載停止と提携解除です。消費者庁が挙げる措置にも、相談窓口の設置、問題表示の是正及び削除、契約解除が含まれています。ASP経由で提携している場合、連絡の窓口はASPの担当者です。
記録を残す運用も決めておきます。いつ誰がどの記事を確認し、どう対応したかの履歴は、管理上の措置を実施していた証拠になります。
アフィリエイトマーケティングの効果測定と改善の進め方
出稿して数か月が経つと、成果は出ているのに利益が増えていないという状態が起こります。原因を特定するには、件数だけでなく承認率と単価を合わせて見る必要があります。アフィリエイトマーケティングの効果測定と改善の進め方は、次の4つです。
- 発生件数・承認率・獲得単価の3つを毎月見る
- メディア別に成果の質を比較する
- 成果が伸びない原因を分解する
- 他のチャネルとの重複を確認する
発生件数・承認率・獲得単価の3つを毎月見る
最初に見る数字は、成果の発生件数です。次に、そのうち承認した件数の割合である承認率を見ます。afbが説明するとおり、発生した成果には承認成果、却下成果、未承認成果があり、支払いの対象になるのは承認成果だけです。
3つ目が獲得単価です。月の広告費を、承認した成果の件数で割って算出します。広告費に含めるのは、成果報酬だけでなくASPの手数料と月額固定費です。固定費を含めると、成果件数が少ない月ほど1件あたりの単価が跳ね上がる構造が見えます。
数字の比較先は、前月ではなく設計時に決めた許容獲得単価です。許容単価を超えている月が続く場合は、報酬額か成果地点のどちらかが実態と合っていません。
メディア別に成果の質を比較する
全体の平均だけを見ると、質の低い成果が多いメディアの影響が隠れます。メディアごとに並べるのは、成果件数、承認率、成果後の継続率または商談化率です。承認率が極端に低いメディアで疑うのは、成果地点の理解の違いか掲載の仕方の問題です。
BtoBの商材では、成果件数と商談化の差が特に大きく出ます。資料請求が多いメディアでも、対象外の業種や個人からの請求が中心であれば、売上には結びつきません。営業側が持つ商談の記録と、ASPの成果データを月次で突き合わせる作業が必要です。
比較の結果は、報酬と提携の調整に使います。質の高いメディアには報酬を厚くし、質の低いメディアには成果地点の説明を改めて行い、改善しない場合に提携を見直します。
成果が伸びない原因を分解する
成果が伸びない状態は、3つの段階のどこかで詰まっています。掲載が増えていない段階、掲載はあるがクリックが少ない段階、クリックはあるが購入に至らない段階です。順に確認すると、打ち手が決まります。
提携メディアが増えない場合は、報酬額と提携条件が競合と比べて見劣りしているか、商品資料が足りていません。クリックが少ない場合は、掲載位置や記事内の紹介の仕方に原因があります。購入に至らない場合は、着地先のページと記事の内容がずれているケースが多く、専用の着地ページを用意する対応が有効です。
立ち上がりに時間がかかる点も見込んでおきます。メディアが記事を書き、検索から読者が集まるまでには期間が必要なため、開始直後の数か月の数字だけで判断すると早すぎる撤退につながります。
他のチャネルとの重複を確認する
アフィリエイト経由の成果には、他の経路でも購入したはずの消費者が含まれます。指名検索でサイトに来た消費者が、購入前に割引情報を探してポイントサイトを経由すると、その成果はアフィリエイトの成果として計上されます。
確認する方法は、アフィリエイト経由の成果が増えた月に、他チャネルの成果が減っていないかを見ることです。総量が変わらずに内訳だけが動いている場合は、新規の獲得ではなく計上先の移動が起きています。
対策は、成果の条件を絞ることです。新規顧客に限って報酬を支払う、クーポン検索を目的とするメディアとの提携を見直すといった調整で、重複を減らせます。Googleはスパムポリシーの中で、商品リンクに rel="nofollow" 属性や rel="sponsored" 属性を設定するよう求めており、自社サイトから外部へリンクする場合の扱いもあわせて確認しておきます。
社内で運用しきれない場合のアフィリエイトマーケティングの依頼先の選び方
ここまでの作業を自社の担当者1人で回すのは、他の広告運用と兼務している状況では現実的ではありません。提携の承認、成果の承認、表示の確認、メディアとの連絡は、いずれも毎月発生します。運用を外部に頼む場合の依頼先の選び方は、以下の3つです。
- 依頼できる範囲を工程で切り分ける
- 表示の管理まで担当してもらえるかを確認する
- 報告の頻度と内容を契約前に決める
依頼できる範囲を工程で切り分ける
外部に依頼できるのは、ASPの選定と初期設定、メディアの開拓と提携交渉、掲載内容の確認、レポートの作成です。成果地点と報酬額の決定は、自社の採算に直結するため社内に残します。
依頼先の候補は、ASPが提供するコンサルティング、広告代理店、アフィリエイト専業の支援会社です。ASPのサポートは自社の管理画面の範囲に強く、代理店は他チャネルとの予算配分まで含めた相談ができる点が違いです。
ASPを介さずに、広告主とメディアを直接つなぐ形もあります。SINCEEDでは、広告主とメディアの直接提携で運用する体制を取っており、最短2週間で掲載を始められます。間に入る事業者が少ないため、表現の修正依頼や報酬条件の相談をメディアと直接進めやすくなります。
見積もりを取るときは、工程ごとに切り分けて依頼範囲を示します。「運用代行一式」でまとめると、掲載内容の確認が含まれているかどうかが見えません。
表示の管理まで担当してもらえるかを確認する
確認すべきなのは、掲載記事の表示確認を誰がどの頻度で行うかです。消費者庁が挙げる管理上の措置には、表示内容の確認と管理担当者の設置が含まれています。委託先がいても、景品表示法上の責任は広告主のままです。
契約書には、どの主体が何を確認し、どの頻度で行うのかを明記します。役割分担を決めないまま委託すると、掲載記事を誰も確認していない状態が生まれます。確認の担当と頻度を契約書に書き込むところまでが、依頼時の作業です。
薬機法の対象商品を扱う場合は、その分野の表現規制に対応した実績があるかを確認します。実績の確認は、担当した商材のカテゴリと、表現ルールの作成経験の有無を聞く形で行えます。
報告の頻度と内容を契約前に決める
報告書に載せる項目を、契約前に指定します。成果の発生件数、承認率、獲得単価、メディア別の内訳、確認した掲載記事の件数と対応内容が最低限の項目です。
報告の頻度は月次が基本ですが、立ち上げの3か月は隔週で状況を共有してもらう形が動きやすくなります。提携の進み具合と、掲載が始まった記事の内容を早い段階で把握できるためです。
自社側の判断が必要な事項も、あわせて決めます。報酬額の変更、提携の解除、新しい成果地点の追加は、依頼先の判断に委ねず自社で決裁する取り決めにしておきましょう。
アフィリエイトマーケティングは成果地点と報酬の設計から始めましょう
アフィリエイトマーケティングは、成果が出たときだけ費用が発生する仕組みである一方、出稿前に決める条件が結果をほぼ決めます。成果地点を自社で確認できる行動に置き、許容獲得単価から逆算した報酬を設定し、ASPの手数料と固定費を含めて費用を見積もるところまでが設計の範囲です。
広告主として押さえる点は、次の5つです。
- 成果地点は、システムで検知でき、承認と却下の基準を文章にできる行動から選ぶ
- 成果報酬は、粗利から逆算した許容獲得単価をASP手数料込みで超えない金額にする
- 費用は、初期費用と月額固定費という固定費が先に発生する前提で見積もる
- メディアは掲載数ではなく、成果の質と記事の付加価値で選び、商品資料と表現のルールを渡す
- 不当表示の責任は広告主にあるため、表示の確認、広告である旨の表示、問題発覚時の手順を体制として持つ
導入を検討している段階であれば、自社サイトで発生を検知できる行動を洗い出し、商品1件あたりの粗利と広告費に回せる割合を出すところから始めてみてください。この2つの数字がそろえば、ASPへの相談は具体的な条件の話から入れます。
ご依頼・ご相談を検討中の方は、こちらからお問い合わせください。
